孤独に直面して
面出望
漢詩に出会ったその日から、私は中国に不思議と親近感を抱いていた。中学の国語の授業で、先生が中国語で孟浩然の「春暁」を音読してくれた。「春眠不觉晓处处闻啼鸟……」こんなにも美しく、力強い言語を聞いたのは初めてで、すぐに中国語の虜になった。そして、いつか中国に行きたい、孟浩然のような中国語の達人になりたいと思った。
夢を叶えるため、私は中国語専攻に進学し、今年の3月、私はついに上海に2週間留学する機会を得た。放課後は友人たちとよく上海を観光した。見るもの聞くものすべてが中国語の世界は、私にとってとても新鮮だった。
しかし、私は段々と違和感を覚えるようになった。ある日、友人が「中国人って親切だよね。レストランでとても心のこもった歓迎をしてくれたし、聞き取れない時は英語で説明してくれたよ」と言った。何日か経つと、多くのクラスメートが同じような経験をしていた。私は不思議で仕方なかった。なぜならどこへ行っても、中国人は大抵私に冷たいからだ。彼らは私の中国語を少し聞き取れなかっただけでイライラするし、冷たい目で私を見さえもする。これは私を苦しめた。私はこの苦しみを誰にも話したことがなく、私も日本人なのに、なぜ中国人は私に冷たいのかずっとわからなかった。ある日宿泊していた迎賓館のシャワーが壊れた時になって、私は思いがけずその理由に気づいた。
その日、私はフロントに電話をかけ、中国語で状況を説明した。受付係が応対してくれた時、早口だったので聞き取れず、もう一度話してもらった。だが、それでも聞き取れなかった。彼女は私が外国人だと気づいたのだろう。たどたどしい英語で、ボイラーが壊れ、修理中だから待ってほしいと説明してくれた。この時やっとわかった。私の中国語は発音が比較的良い方だったので、上海の人は私の中国語を聞いて、すぐに私のことを中国人だと思ったのだ。だから私の発音が違ったり少し聞き取れなかったりしただけで、彼らは苛立ったのだ。だが私は中国人ではないため、中国語のレベルもたかが知れているし、英語すらそこまで話せない。相手の態度に少し焦りが見えると、自分はすぐに孤独を感じ、どうしていいかわからなくなってしまうのだ。
私は同済大学の日本語学科の学生と交流したことを思い出した。私と比べて、中国の学生は日本の政治情勢により詳しいようであり、多くの日本のアイドルや漫画を知っていた。彼らは皆日本が大好きで、目を輝かせながら話す様子は、初めて「春暁」を聞いた時の私のように純粋だった。私は中国が好きだ、だから自分の中国語で日本と中国をつなぐ架け橋を作れないかと思った。
現在、多くの中国人が日本に旅行に来ているし、仕事や勉強しに来ている人も少なくない。中には日本語のレベルが低く自分のことをうまく表現できないために、成す術がないと感じている人もいる。日本にいる外国人は日本語を話す。これが日本人の希望であり、日本にいる中国人と中国語で話そうとする人は少ない。どこにいようと、外国語で自分のことを話せない時はやるせなさと孤独を感じる。全く同じだ。私は上海にいた時このような孤独を体験したことがあるが、日本にいる中国人も同じように感じているのではないだろうか。
これは上海への留学で得た、誰かを助けることの大切さを深く理解することができた貴重な経験である。私は自分の中国語能力を使って中国人を助けたい、彼らが孤独感から抜け出す手伝いをしたい。そのために、さらに中国語の勉強に励み、中国のことを理解していきたいと思っている。