10月24日、中国初の月探査衛星「嫦娥1号」が打ち上げに成功した。「嫦娥」という名前は、中国でよく知られる伝説「嫦娥、月に奔る」にちなんで付けられたもの。中国人にとって、月に対する憧れと想像が掻き立てられる伝説だ。
500年前の明の時代、万虎という名の勇士が、47本の矢をくくりつけて飛ばすという簡易ロケットを使って宇宙に飛び立とうと試み、命を落とした。世界の科学者たちはこのことを忘れず、万虎は「世界で初めてロケットに乗って宇宙へ飛び立とうとした人」と認識されている。月面には彼の名を冠したクレーターもある。
そして今日、「嫦娥1号」が月に向かって打ち上げられた。先人の宇宙への憧れと持続可能な発展のための資源を探求するという人類の願いを載せて。
新型エネルギーを求めて
「嫦娥1号」には4つの主要ミッションがある。1つ目は、月面の立体映像を撮影すること。2つ目は、月面の有用元素の含有量と分布状況を分析すること。3つ目は、月の土壌の特性を観測すること。そして4つ目は、地球から月までの宇宙空間環境を調査することだ。
これらのミッションの中の課題の多くは、まだどこの国も手をつけたことがないか、完全には遂行されていない。たとえば、月全体の立体映像はまだ公表されたことがないし、月全体の土壌の特性と厚さの観測もまだ行われていない。米国はすでに5種類の有用元素の分布状況を公表しているが、今回「嫦娥1号」は、14種類の分布状況を調査する予定だ。
このほか、「嫦娥1号」のもっとも注目されているミッションは、月面上の「ヘリウム3 」の観測。「ヘリウム3」は、核融合発電の燃料として利用でき、100トンで全世界の1年分の発電需要を満たすことができる。また、環境にもやさしいため、将来のエネルギー問題を解決する重要な資源だとみなされている。地球上にはほとんどなく、開発も難しい「ヘリウム3」だが、月には大気層がないため、太陽風によって月面上に大量に運ばれてくる。
ある予測によると、月面上には100万~300万トンの「ヘリウム3」があり、人類全体の約1万年分のエネルギー需要を満たすことができるという。
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