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底上げされる最低生活保障

 

1997年、中国は都市住民の最低生活保障(略称「低保」)制度を打ち出した。それから10年後の2007年、「低保」制度は農村でも全面的に実施され始めた。「低保」制度はいまや、都市と農村の、生活の苦しい人々にとって、生活を保障するセーフティーネットとなった。

 

物価スライドする支給額

 

湖北省宜昌市葛州壩の最低生活保障世帯は、民生部門から春節の慰問物質を受け取った(新華社)
新しい年が明けてまもなく、失業して家にいる王幼糯さんは、いつものように「低保」の支給金を受け取りにいった。そこで王さんは、2008年1月から「低保」カード上の金額が、前より80元(約1240円)増えていることに気づいた。4人家族なので、毎月一人当たり20元増えたことになる。これは、政府が物価の値上がりに応じて増やした「低保」の補助金であった。

 

王さんは浙江省紹興市で暮らしている。レンガと瓦でつくられた2部屋の粗末な家や室内の様子から、この一家の困窮ぶりがはっきりとうかがえる。家は粗末だが、主婦の王さんは、家の中をきれいに片付けている。

 

王さんはもともと紹興市の紡績会社に勤めていたが、会社が倒産し、職を失った。同じように失業した主人は心臓病と高血圧を患い、働けない。2人の娘は、1人は大学に通い、もう1人はまだ小学生だ。一家の毎月の生計は、すべて王さんがパートで稼ぐ500元で維持されていた。

 

2002年、王さん一家は、都市の「低保」の対象範囲に入った。それから王さん一家の生活は変わった。当時の紹興市の都市住民の「低保」規定によると、王さんのような「低保」家庭は、毎月1人当たりの「低保」基準が230元で、一家4人で合計920元を受け取ることができる。王さんの毎月の収入は500元なので、それを差し引いて、420元の「低保」金がもらえた。

 

3っ子の女の子を出産した貴州省息烽県小寨壩鎮の唐良美さん(中央)は、夫がレイオフされ、生活が苦しい。地元政府の民生部門は彼女に「低保」金を支給している

その後、「低保」基準が改正され、現在、王さん一家の「低保」金はすでに700元に増えた。地元を離れ、大学で勉強している長女は、奨学金やアルバイトで暮らし、紹興市で暮らしている3人は「低保」金によって日常の出費をまかなうことができている。

 

王さん一家のように、2002年から、中国のすべての都市の最低所得の住民は、「低保」金がもらえるようになった。その後、全国の都市部の「低保」の対象となる人数は、常に2200余万人で安定していた。

 

しかし生活レベルの向上や物価の値上がりにつれて、各地の「低保」基準も、程度の差はあれ上方修正された。とくに2007年下半期から、各地の豚肉や卵、野菜、食用油などの副食品の価格が大幅に値上がりし、人々の生活を圧迫した。このため政府は、1年以内に連続3回、都市住民の「低保」水準を引き上げた。2007年末までに、中央財政が出した「低保」の補助金は、全部で160億元に達し、2006年より17.65%増加した。

 

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