いま、中国の大都市で、社会の基盤をなす地域社会が変わりつつある。「社区」という、外国人には耳慣れぬ概念の組織が生まれ、発展しているのだ。
「社区」は、欧米の「コミュニティー」とも、日本の「町内会」や「団地」とも少し違う。中国の発展の歴史や実情の中から生まれてきた独特の組織であり、また、独特の役割を果している。いまや中国の大都市の市民生活は、「社区」なくしては語ることができない。
注目すべきことは、「社区」の発展にともなって、住民の社会への参加意識や民主的意識が高まってきたことだ。これまでは自己管理に「自覚がなかった」市民が、「自覚的に管理する市民」へと変貌をとげつつある。
「社区」の実態はどうなっているのか、そしてこれから「社区」は、どうなるのか……。北京のいくつかの「社区」を例に報告しよう。(文・侯若虹 写真・楊振生)