中国はこの20余年にわたり、高度成長を続けてきた。沿海部の多くの都市は発展し、人々の生活は「まずまずの水準」に達した。
しかし、内陸部に目を向けると、「温飽」(十分に食べたり、着たりすること)さえできない人々が依然、2820万人もいる。さらに1人当たりの年収が865元(約1万3000円)に満たない層を加えた「貧困人口」は8600万に達する。
市場経済化によって、貧富の格差は広がっている。格差の拡大は避けられないが、底辺の人々の暮らしが以前より苦しくなっては、社会の安定が損なわれる。いかにして貧困人口を減らすか、それは中国の大きな課題なのだ。
いま中国では、「先富」が「後富」を助ける、つまり先に豊かになったものが、後から豊かになるものを助けるという「扶貧」の考えが広がっている。国際的な支援の温かい手も届き始めた。しかし貧困問題との闘いは、愚公が山を移す故事のように、果てしなく続く困難な闘いである。
貧困地区の実態はどうなっているか、援助はどのように行われているのか……貧困地区の中で、平均より少し上に属する山西省の太行山脈にある山村を訪ね、その実情を見た。
その1 『古井戸』の村が変わった
その2 貧困問題は楽観できない
その3 『人民中国』の読者からの援助も
人民中国インターネット版
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