5月18日、私は四川大地震特別取材班の特派員として成都入りした。そして、成都市内の華西病院で医療活動を行った日本の国際緊急援助隊医療チームを密着取材した。
3.8トンの医療設備を持参
5月20日、日本の国際医療チームは3.8トンの医療設備と薬品を持参して成都入りし、6月2日まで成都市内の華西病院で医療活動を行った。
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華西病院第4病棟の玄関前に設けられた日本の医療チームの本部 |
患者の負傷状況について相談する日本人の医師 |
中国紅十字会(赤十字社)の関係者によると、最初は、日本の医療チームの活動地点として成都市に近い徳陽市を決めた。しかし、徳陽市政府の地震災害救助本部は、余震によるケガ人が出ないよう、負傷した住民を成都など震源地から離れた都市へ搬送しようとしていた。
成都市内は地震による被害がそれほどひどくなく、医療設備の整った大病院も多いため、負傷者の多くが運ばれてきている。そこで四川省政府は、日本の医療チームに対して、活動地点として成都市内の病院をすすめた。いろいろと検討した結果、中国西部でもっとも優れた大病院である華西病院を活動地点に決めた。
華西病院は4つの病棟からなる総合病院で、4300人の患者を収容できる。患者の一部は、地震発生後に現場から運ばれてきたケガ人。これまでに、地震による負傷者を延べ2000人ほど受け入れている。
日本の医療チームに期待
華西病院の整形外科の受入可能患者数は200人ほどだが、実際はその3倍の600人以上を受け入れていた。看護師は63人しかおらず、対応が追いつかない。他の科の看護師も応援に来たが、整形外科の専門知識がないため、患者の世話をするだけで精一杯。
整形外科の主任医師に、日本の医療隊員リストを見せると、この医師はすぐに老眼鏡をかけ、リストを両手で握ってじっくりと目を通し始めた。日本語は話せないが、日本語の漢字表記の医学専門用語に詳しく、その具体的な意味を一つひとつ説明してくれた。
「機会があれば日本の医療チームの整形外科の医師といっしょに手術をしたい」と主任医師は言ったが、残念なことに、日本の医師は今回、主に診断の協力をし、中国側といっしょに手術を行うことはなかった。
救急外来の若い医師に、日本人の医師といっしょに患者を診断することについて尋ねると、「すばらしいことだ。同じ症状でもより多くの解決方法を見つけ出すことができる。そのなかには、これまでと違う、もっといい方法があるかもしれない」と答えた。
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