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馬宿が物語るキャラバンの昔

 

 雲南とチベットを結ぶ数千キロに及ぶ茶馬古道は、長いあいだ雨風にさらされ、ほとんど残っていない。しかし、代々受け継がれてきたキャラバンの習わしや生活は、今でも物語のように民間に語り継がれている。

 

四方八方に通じる道路網

納科里村のそばを走る昆明からシーサンパンナへ抜ける高速道路

 日も暮れかかり、思茅(現在のプーアル市)での取材を終えた考察隊は、その地に宿泊することになった。夕食後の自由時間には、運転手たちは疲れも顧みず、車の点検や手入れに取り組んだ。

 

 翌朝、ようやく空が白み始めた頃、エンジンの音と荷物を積み込む騒がしい声が耳に飛び込んできた。大急ぎで荷物を整理して部屋を出る。朝の空気は新鮮で湿り気があり、ときおり梢から顔の上に落ちてくる露の玉のひんやりとした冷たさが心地いい。準備が整った車列は、まだ静かに眠っている山城をそっと離れた。

 

李さん一家

 この30年あまりの急速な経済発展に伴い、雲南省の交通事情にも大きな変化が起こった。四方八方に通じるアスファルトの道が、長い歴史をもつ茶馬古道に取って代わった。上等な道路と谷間を走り抜ける高速道路は、雲南を外部と結びつけた。雲南省では、農村の道路建設をさらに加速させ、交通をより便利にするため、農村道路の改善と建設に38億5000万元を投入する予定だ。

 

かつて馬に食べさせる草を切るために使った馬草切り

 現在、省都の昆明市を中心として広がる9つの道路は、省内の各都市へ通じるほか、四川省、チベット自治区、貴州省、広西チワン族自治区などの省外各地およびベトナム、ラオス、ミャンマーという3つの国とつながっている。さらに県と県の間、県と郷の間の道路を加えると、山地と高原の面積が93%を占める雲南省において、各地に張り巡らされた道路網がすでに構築されている。2010年には全省で開通する道路の総距離は17万2000キロとなり、そのうち3200キロが高速道路である。

 

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