東洋儀礼の趣
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中国の胡錦濤国家主席は北京オリンピックの開幕を宣言した(新華社) |
古代中国の日時計から放たれた強い光が、国家体育場(通称「鳥の巣」)の中央に並べられた「缶」を照らした瞬間、2008台の缶は雷鳴のような大きな音を発した。人々の心を揺り動かす缶の音の中、北京五輪は開幕したのである。
缶は古代中国の打楽器だ。はやくも四千年前の夏・商時代には、缶を打って客人を迎える儀礼があった。楽師たちは、缶が奏でるリズムに合わせて孔子の名句「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」を繰り返して朗読。壮大なスケールと伝統的な形式で世界各地から集まった客人たちを心から歓迎する気持ちを示した。
中国は古来より儀礼を重んじる国である。数千年かけて形成された客人をもてなす儀礼は、感情をあまり表には出さないものの熱情が秘められている。
開会式では、竜の模様が施された高さ13メートルの32本の柱が、ゆっくりと立ち昇り、広大な宮殿を象徴した。宮殿の中では、華やかな衣服をまとい簪を挿した千人以上の宮女が軽やかに飛び舞い、琵琶を手にした楽師は柱の上で、「余韻は梁にからみつき、三日絶えることがない」の如く、美しいメロディーを演奏した。「太古遺音」という名の千年の歴史を持つ古琴は、優雅な古曲を奏でた。また、中国10大名曲の1つ『春江花月夜』の優美でゆったりとした旋律にあわせ、崑劇の役者たちは抑揚美しく唐詩を詠った……。
中国はこの日、自分たちがもっとも大切にする伝統文化による盛大な宴会を催し、各国の友人たちを最高の礼を尽くして歓迎した。世界中の人々も、中国文化を代表とする東洋文明の魅力に浸ったことだろう。
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中国の伝統的な礼楽のパフォーマンスでは、竜の模様が施された柱が聳え立ち、優雅な音楽と晴れ着をまとった宮女たちが各国の選手や賓客たちを歓迎した |
孔子の弟子3000人が竹簡を持って『論語』の名句を詠唱した。これは中国人の、平和を愛し、謙虚で、向上心を持ち、度量が広いという人格と伝統を表現している(東方IC) |
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