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咲き誇る花が彩る暮らしとこころ

 

夜明け前に世界へ美しさを

大メコン川流域の6カ国のライフスタイルはみな豊かで多彩であるが、どの国でも切り花はロマンチックなものとして、生活の中にとけこんでいる。祝祭日のお祝い、儀式の飾り、インテリアのアクセント、ファッションのアクセサリー、神様への献花として、ひいては飲食においても広く使われている。そのため、大小さまざまな規模の切花市場が、都市にも田舎の村にもいたるところにある。

華明生さんのバラ園
切花市場は詩的情趣も豊かである。タイのバンコクであれ、ミャンマーのヤンゴンであれ、あるいは中国の昆明やラオスのルアンプラバン、カンボジアのアンコール遺跡、ベトナムのダラト(ラムドン省の省都)であれ、花の栽培者は常に蕾のままの花を夜中に用意し、その花開く美しさを夜明け前に人々に捧げる。これは長い間受け継がれてきたルールで、どの民族も申し合わせたように守り続けている。だからこそ、メコン川流域の真昼は、どこもかしこもおしなべて切り花のように美しいのだろう。

斗南村の切花市場には、競り売り及び伝統的な取引の二つがある。多くの花卉農家にとって、伝統的な方法でいい値段をつけ、自分の花を直接売るのが便利である。その一方で、自分のブランドを持つ華さんのような栽培農園は、産量も多いため、競売市場で取引をするほうがより大きな収入につながる。

華さんのバラは、毎日斗南村内の昆明国際花卉競売センターに運ばれ、競売にかけられる。

この競売センターは、オランダのロッテルダムの競売市場にならって建てられたもので、国際基準に沿った中国で最初の花卉市場である。斗南の切り花は、ここを通じて世界の市場とつながっている。

ここの競売のプロセスは、完全にデジタル化されている。一つの取引にかかる時間は5秒足らず、人気商品であれば2秒もかからずに売買が成立するという。

華さんの「金財園芸」は、競売センターではいつも大人気である。もっとも高値のときには1本2、3元で売れたという。彼のバラは品質がよく、供給量が多く、出荷も安定しているからだ。20年前、野菜農家であった華さんは、競売の意味も知らず、二籠の切り花を自分で売りさばくのに一日がかりだった。現在、彼のバラは競売が成立すると、すぐに日本、ロシア、中東に送られ、最高級の贈り物として包装され、国王の晩餐会を彩り、貴族の寝室あるいは一般家庭のリビングを飾る。競売のたびに、華さんは一種の達成感とともに、まるで夢を見ているようだと感じるという。この素朴な農民と全世界とが、競売というシステムがつながっているのである。

切り花を使って紙を作るミャンマーの女性
この夜、「カローラ」と名づけられた華さんの2000本のバラがシンガポールの花卉業者に買い付けられ、タイのバンコクへ送られた。

バンコクには少なからぬ花卉市場があり、最大のものはワット・プラケオ(王宮)近くにある。翌日の夕方、雲南産の2000本のバラが、この市場で花屋を営む曾さんの元に届いた。曾さんは台湾出身で、バンコクで花屋を経営して十数年になるという。彼は雲南からわざわざ「雲花」を輸入して販売しており、その販売量は毎週十数万本に及ぶ。

花は川の流れる大地のいたるところに咲いているが、地域によって品種も異なる。雲南とカンボジアにはまったく別の品種の花がある。そのため、切り花の貿易と交流は、各地の人々の生活を多様にするという意味でとても大切である。雲南からのバラは、タイの人々に喜ばれ、瀾滄江の切り花が、時空を超えて昆明の郊外の栽培農園からバンコクの都会的な花屋に届く。夜が明けたら、この花束を抱えた恋人たちが、遥かなる高原から届いた香りに心ときめかせることだろう。

 

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