外国人に中国事情を紹介するときは、中国の物語を話すのがよい。外国語で話せば分かってもらえると思ってはいけない。どのように表現するか、その方法を軽んじてはならない。
外国人が受けた教育や彼らが育った文化的環境は、私たち中国人とは異なるから、私たちには理解できることでも、外国人が理解するには難しいことがあるだろう。
新華社のベテラン記者である黄燕さんは私に、こんな話をしたことがある。
「私たちはかつて、真実でありさえすれば、たとえどのように表現してもウソだと思われることはないと思っていました。けれども結果は、しばしばその通りにはいかない。欠けているのは真実ではなく、それを表現する術なのです」
さらに、ある友人はこんな話をした。
「外国映画で、明らかに変な筋のフィクションだとわかっているのに、かえってそれが本当の話のように見えてくることがある。逆に中国映画の場合、ストーリーはウソではないのに、どう見ても作り話にしか見えないものがある」
この二つの話はたぶん、同じ道理を語っているのだろう。
周恩来総理はかつて外国の友人に、中国のラブストーリーである『梁山伯と祝英台』について話したとき、「梁山伯と祝英台は中国のロミオとジュリエットです」と説明した。外国の友人はすぐにその物語を理解することができた。
しかし『梁山伯と祝英台』は越劇(浙江省の地方劇)なので、そのままの形で伝えるのは明らかにその限界がある。そこで一曲のバイオリン協奏曲にしたところ、外国人はそれに深く感動した。おかげでこの中国のラブストーリーは、世界に広まった。
趙啓正
1963年、中国科学技術大学核物理学科卒業。高級工程師などを経て1984年から中国共産党上海市委常務委員、副市長などを歴任。
1998年から国務院新聞辦公室・党中央対外宣伝辦公室主任。
2005年より全国政協外事委副主任、中国人民大学新聞学院院長。 |
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