時は金なり時は命なり

 

時計が発明されてから、文明生活では、時間を守ることが求められるようになった。公的にも私的にも、時間の割り振りは必要である。現代の国際的な活動のスケジュールは、よりいっそう周到で、精緻でなくてはならない。

1996年4月26日、上海で、中国の江沢民国家主席、ロシアのエリツィン大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領、キルギスのアカエフ大統領、タジキスタンのラフモノフ大統領が『国境地区における軍事領域の信頼を強化する協定』に共同で調印した。

5カ国首脳はそれぞれの代表団を率いて同時に上海に到着したが、これも初めてのことだった。5カ国の代表団は別々に5カ所のホテルに泊まった。協定調印の時に各代表団が会場に到着する時刻は、中国側の指導者が出迎えられるよう、決められた順番通り、しかも1分以内の間隔でなければならなかった。

しかし、各国の大統領はそれぞれ自分の予定があった。例えばエリツィン大統領は、4カ所を視察し、1つのシンポジウムに参加した。それぞれの活動はスケジュール通り狂いなく行われなくてはならない。主催者側は苦心惨憺し、5人の国家主席と大統領は24時間のうちに、予定された行事を無事に終わらせることができた。

時間を守るかどうかは、各国の人々の性格とも関係がある。一般に、もっとも時間を守るのはドイツ人と日本人だと言われている。情熱溢れるスペイン人やイタリア人は、約束した時間をあまり気にしない。中国人は時間を守る方の部類に属すと広く認められている。

中国にも世界にも、時間に関する格言は多いが、その中には意外にも、期せずして一致したものもある。「時は金なり」は多くの国で格言となっている。中国の文豪、魯迅もまた「時は命なり。理由なく他人の時間を空費するのは、実は財を奪うために人を殺すのと変わらない」と述べている。

時間の観念は、その人の生活や仕事に対する態度を反映している。何回も時間を守らない人は、信用を失う。もし、約束したのに、事故があってどうしても約束の時間を守ることができないときは、必ず前もって説明し、お詫びをしなければならない。そうしなければ約束の時間を守らない人だと思われてしまう。もし、約束を忘れてしまい、行かなかった場合は、きっと信用できない人だと思われるに違いない。(趙啓正=文)

 

趙啓正

 

 1963年、中国科学技術大学核物理学科卒業。高級工程師などを経て1984年から中国共産党上海市委常務委員、副市長などを歴任。

 

 1998年から国務院新聞辦公室・党中央対外宣伝辦公室主任。

 

 2005年より全国政協外事委主任、中国人民大学新聞学院院長。

 

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