留学生の為に始めた中国語学校
中国留学生援護会の前山勇会長 |
横浜市南区にある久良岐ライオンズクラブの前山勇さんら有志は、1986年、中国留学生援護会を設立し、中国語教室を開いた。当時、急速に進んだ円高が、日本で暮らす中国人留学生に経済的に打撃を与えていた。その窮状を救うため、中国人留学生に中国語の講師になってもらう場を提供し、その授業料で経済的に支援しよう、という狙いだった。そして中国の未来を担う優秀な留学生とのつながりを持ち、民間レベルの交流を活発にすることは、将来の日本のためも必要だと考えたのである。
25年前の横浜には、まだ中国語だけを専門に教える学校はなく、ボランティアの運営スタッフにとっても手探りの毎日だった。設立メンバーが次々と抜け、家族に呆れられながらも、残った前山さんが会長となり、自らの会社経営の傍ら、中国留学生援護会の活動を支えた。
当時は今と違って、留学生にとって生活用品をそろえることも困難な時代だった。使っていないからと、洗濯機やテーブルなどを提供してくれる日本人受講生もいて、前山さんの自家用車で何度も講師が住む学生会館まで運んだ。
大きなトラブルはこれまで一度だけあった。開校から2、3カ月経ったころ、授業料の分配に関して意見が対立。しかし話し合いを続け、和解した。小さなトラブルはあるが、前山さんは中国人留学生側の言い分にもしっかり耳を傾ける。彼らが幅広い層の日本人と交流できるせっかくの機会を逃して帰国してしまうのは一番残念なことだと思うからだ。
これまでに講師を務めた留学生は約二百名。OBの中には、現在、中国で大学の講師になったり、会社を経営したりしている人もいる。受講生は延べ2万人。卒業してからも長年にわたって交流を続けている講師と受講生はとても多い。この25周年という節目に、新たなスタートを切られたらと願う。
前山さんは言う。「ボランティアは人の為だというけれど、僕は自分の為だと思っています。そう言い聞かせながらやってきました。文化が違っても話し合いをすれば必ず分かり合えます」
人民中国インターネット版 2012年2月29日