▽見てみよう:予熱と予測
中国の「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)は国内メディア関係者の一大盛典であるばかりでなく、ますます多くの海外メディアがこの盛典の仲間に加わるようになっている。今年は現政権の任期最後の年であり、今期の全人代代表と全国政協委員にとっても任期最後の年だ。複雑な国内・国外情勢に直面して、中国はこれからどのように進むのかという点をめぐり、国内外の専門家がさまざまな議論を繰り広げている。当然のことながら、中国を理解する最もよい窓口である「両会」を、海外メディアが見逃すはずはない。「両会」ニュースセンターがまとめた統計によると、今月1月正午現在、「両会」の取材申込みを行った国内外の記者の数は3千人を超え、うち海外メディアの記者は約900人、香港、澳門(マカオ)、台湾地区のメディアの記者は約600人に上るという。「人民日報」海外版が伝えた。
海外メディアによる今年の「両会」の「予熱」に関する報道では、最も複雑な情勢に直面する『両会』」というのが多くのメディアの共通認識だ。
ロイター社は「現在の中国政府は任期最後の年に大きなテストを受けることになる」と報じて、注目を集めた。
大手メディアもそれぞれの予測を相次いで打ち出している。ロイター社は報道の中で、今年の会議は中国がこれから直面する課題をかいま見るものになる可能性がある。こうした問題には、大型国有企業の改革の推進、所得格差の縮小と一般労働者の納税負担の削減、民間企業により多くのチャンスを与えるための産業の開放を実施するよう呼びかけることなどが含まれている。米国誌「ビジネスウィーク」は、中国は一連の差し迫った問題に直面しなくてはならず、これまで依拠してきた成長モデルを放棄する可能性があるとの見方を示した。米国の財政経済専門のテレビ局CNBCの予測によると、今年の「両会」では私有化の改革、地方債務の問題、債務と成長との関係などで動きがあるという。また米紙「ワシントンポスト」は、今年の両会は「苦痛」に満ちたものになる可能性もある新たな周期の改革プロセスのスタートになるとの見方を示した。
▽聞いてみよう:議論しているのは何?
経済は必然的に注目点となる。一定期間の高度成長を経て、中国経済は減速の十字路にさしかかり、長期にわたって累積した一連の問題が顕在化し始めている。英国紙「インターナショナルビジネスデイリー」によると、このたびの「両会」の開幕は、中国の経済成長の鈍化が予測される時期に当たっているため、経済発展を促進し社会の安定を維持するためにより多くの政策が打ち出される可能性がある。また低めの経済発展目標が設定され、インフレ率の安定維持が図られる見込みだという。米国誌「ワールド・ポリティクス・レビュー」は、中国はより抑制的な経済成長の時期にさしかかりつつあり、重要措置の準備も進められているが、世界のマクロ経済環境の悪化が中国にとって新たな背景となっており、それもあまり有利とはいえない背景となっている。このため今年の「両会」は国内外の目を引きつけるものになると報じた。
軍事費も避けて通ることのできない注目点だ。米国紙「シカゴ・トリビューン」は、中国が2012年の軍事予算を発表することに期待を寄せる。同紙の見方によると、これは米国のバラク・オバマ大統領のアジアでの新たな攻勢を受けて中国がどのように対応するかを示すものになるからだという。
当然のことながら、物価、医療、住宅、養老といった国民生活にかかわる問題も世界の注目を集めている。たとえば日本の共同通信社の記者は貧富の格差の問題に関心があるとしている。
▽考えてみよう:海外メディアがこれほど注目するのはなぜ?
米調査会社ギャロップがこのほど行った世論調査によると、米国人の53%が中国は世界トップの経済強国との見方を示し、トップに米国を選んだ人は33%、日本を選んだ人は7%にとどまった。2000年に同様の調査を行った際は、米国が世界トップの経済強国とした人は65%に上り、日本は16%で2位、中国は10%で3位だった。
ギャロップ調査の結果は中国の力だ。世界2位の経済体として、中国はグローバル経済が低迷にあえぐ中で安定して急成長傾向を維持し、世界が国際金融危機から脱却しようと努力する中でグローバル経済を牽引する役割を演じた。中国の一挙手一投足が世界の注目を集めるといえる。中国の内政や外交の窓口であり、経済情勢を判断する際のバロメーターである両会が、世界の注目する焦点になっていることは容易に理解できる。
一部の人は、しっかりとした気持ちで「両会」を見つめている。というのも、中国経済が世界に与える影響が非常に大きいからだ。一部の人は、学ぼうという態度で「両会」を見つめている。中国をよりよく理解したいと考えるからだ。あるカザフスタンの専門家などは、国民生活の保障と改善の面で、中国は中央アジア諸国にとってよい模範になっていると述べる。また一部の人は、審査するような態度で両会を見つめている。中国が眼前に横たわるさまざまな問題をどのように処理するかを知りたいからだ。あるロシアの専門家は、世界で最も人口が多い国である中国は、社会保障システムの建設や改善でさらに努力する必要があるとの見方を示す。
だがそれほど友好的ではない下心を抱いて「両会」を見つめる人もいる。最近、メディアには「中国衰退論」の論調が現れており、中国は人口メリットや改革メリットがなくなり、資源環境や経済体制は持続不可能であり、遠からず危機が発生するとの見方を伝えている。こうした考え方をする人が「両会」に注目する時の心情や態度を「よい」という形容詞で表現することは難しいといえる。
「人民網日本語版」 2012年3月5日
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