今年の政府活動報告は8年ぶりに経済成長率の予測目標を僅かに下方修正し、7.5%と発表した。インフレ率目標は4%前後と前年と変わっていない。このような組み合わせは何を意図しているのだろうか。経済の動向にどのような影響を与えるのだろうか。
「様々な矛盾が錯綜する厳しい状況下で、中国は一定の経済成長を保ちながら、難題に対抗する必要がある。インフレ圧力は依然、無視できない状況で、成長率のある程度の安定は物価の安定に繋がる」と全国政協委員、中国社会科学院経済学部の劉樹成副主任は言う。
経済成長と物価は往々にして矛盾している。中国経済の発展の経験からも、経済成長の過剰な速さが物価の大幅な値上がりを引き起こしたケースが少なくないことがわかる。物価を抑えようとすれば、逆に経済の「失速」というリスクを背負うことになる。
報告書では、経済の安定した比較的早い発展を目指し、物価レベルの全体的な安定を保つことを上げている。
「我々は経済成長と物価の両者の安定を目指している。両者の間でバランスが取れるポイント模索していく」と国家発展改革委員会、マクロ経済研究院の王一鳴副院長は指摘する。
様々な要因があるなか、2011年以来、中国の経済成長率は1四半期ごとに落ち込んでいる。第1四半期の9.7%から第4四半期には8.9%まで落ち込み、この状況は今年も続くだろう。これに呼応するように、消費者物価指数(CPI)の上げ幅も昨年中旬の6.5%から年末には4.1%まで下がった。今年1月には回復を見せたものの、春節前の季節的な要因からくるものだった。
「積極的に経済成長をスピードダウンさせ、成長率を合理的な範囲まで戻すことで、物価の安定に効果を発揮し、経済のモデルチェンジの条件を生み出す事が可能だ」と全人代代表、中国人民銀行済南支店楊子支店長は強く指摘する。
多くの代表・委員が、現在の物価上昇は徐々に安定しているものの、コストによる物価の値上げ圧力は長期的に存在するだろうと考えている。国債原油価格が安定しない中、国民、特に低所得者は物価に対して非常に敏感になっており、油断する事ができない状況だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年3月5日 |