次期全人代の代表、官僚の代表定数は初の削減へ

 

北京で開会中の第11期全国人民代表大会(全人代=国会)第5回会議で8日、次期全人大代表の選出に関する決定草案が8日、審議にかけられた。同草案は、憲法と選挙法に基づいて起草されたもので、「一票の平等」、「地域の平等」、「民族の平等」という「3つの平等」を重視する姿勢がさらに色濃く打ち出された。中国共産党の機関紙、人民日報が伝えた。

第11期全人代の代表が来年3月で任期満了となることを受け、決定草案は、第12期全人代の代表を来年1月に選出すると規定した。都市部が農村部より人口比率で優遇されていた「格差条項」を改める選挙法改正案が2010年に可決されて以降初の代表選挙となる。中国人民大学の元学長、紀宝成氏は、「国民主権の進歩を保障する重要な措置であり、社会主義民主政治を確立する上での一里塚でもある」とみる。

▽都市部と農村部の「格差条項」を撤廃

都市部と農村部の代表枠に同じ人口比率が適用されるのは今回が初めてで、第12期全人代代表選挙の最大の見どころだ。選挙法には、代表枠を人口比率で決定することが定められている。3千人以下の代表数のうち、人口比率で割り当てられる定数は2千人。各省・自治区・直轄市ごとに割り当てられる代表枠は、第6回国勢調査の人口統計と昨年末に公表された戸籍人口の加重平均値に基づき、約67万人に1人と規定された。

中華人民共和国初の選挙法(1953年制定)では、都市部から選ばれる代表の人口比率は農村部の8倍と優遇されていた。しかし1995年には、これが4倍に引き下げられ、さらに2010年の改正選挙法で格差が完全になくなった。

中国憲法学研究会の韓大元会長は「最初の8倍は地方各レベルの人民代表における労働者階級の優位を保つものだった。この格差がなくなったことは、農村人口の選挙権や政治的権利が憲法の定める平等原則に大きく近づいたことを意味する」と指摘する。

▽「地域の平等」と「民族の平等」

決定草案には、「一票の平等」のほか、「地域の平等」や「民族の平等」の考えも見て取れる。各省・自治区・直轄市に割り当てられる基本定数は一律8人の計248人と規定された。この規定は、国家権力機関に対する参加権の公平性を保障するもので、各省・区・市は人口数にかかわらず、同等の基本定数が割り当てられる。

「民族の平等」については、少数民族の代表が深い感銘を受けている。民族の文化保護にとりわけ注目しているというシボ族の富春麗さん(新疆ウイグル自治区代表団)は「シボ族の人口は約20万人。この代表枠を大切にしたい。決定草案の規定には、少数民族を重視・尊重する国の姿勢が現れている」と話す。

少数民族の代表定数を確保するため、第5期全人代以降は▽少数民族の代表定数を代表枠全体の12%前後とする▽人口が極めて少ない民族については、少なくとも1人の定数を確保する--ことが明確に規定された。第6回国勢調査の統計によると、各少数民族の人口の合計が総人口に占める割合は8.49%で変化していない。そのため、今回の選挙でも同規定が踏襲される。

このほか、香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾省、中国人民解放軍、帰国華僑の代表定数についても、第11期全人代と同様であることが規定された。

▽政府官僚の定数比率を引き下げ 中国初

改正選挙法は、労働者、農民、有識者をはじめとする社会末端の代表定数を確保することを規定している。決定草案でも、「第12期全人代の代表枠は、社会末端、特に一線労働者、農民、技術者の比率を前期よりもやや上昇させ、農村からの出稼ぎ労働者の比率を大幅に増加させる。一方、政府官僚の割合はやや引き下げる。再任の割合も一定数確保する」と定められた。

 

「人民網日本語版」 2012年3月10日

 

 

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