政府活動報告(2012)

 

三 二〇一二年度の主要任務

(一)経済の安定したより速い発展を促すこと

内需とくに消費需要を拡大することは、わが国が長期にわたって安定したより速い経済の発展をめざす上での根本的な立脚点であり、今年度の活動の重点目標でもある。

消費需要の拡大に取り組む。消費の拡大につながる長期的かつ効果的なメカニズムをいち早く構築する。所得分配の構造調整に力を入れて、中・低所得層の収入増をはかり、住民の購買力を高める。住民の消費を奨励する政策を完全なものにする。社会的な高齢者対策や家事代行、不動産管理、医療・保健などのサービス業を大いに発展させる。文化面の消費と観光や健康増進などの消費を奨励し、有給休暇制度をしっかり定着させる。オンライン・ショッピングなど新しいタイプの消費形態を鋭意発展させる。環境に優しい建材や、節水型のバス・洗面所・トイレ設備、エコカーなど環境に優しい商品の消費を支援し、誘導する。消費者金融を拡大する。都市・農村部における流通システムや道路、駐車場などのインフラ整備を強化する。製品の品質安全の監督・管理に力を入れる。消費環境を改善して、消費者の合法的な権益を守る。

投資構造を絶えず合理化する。投資の安定した伸びを保ち、投資と消費の相互促進作用をいっそう発揮させる。「民間投資の健全な発展を奨励・誘導することに関する国務院の若干の意見」を真剣に履行するとともに、執行しやすい実施細則を策定する。構造調整における政府投資の先導的役割を強化して、 建設中または建設の継続を必要とする重点プロジェクトの資金需要を優先的に確保し、国家重点プロジェクトの着工と建設を秩序よく推し進める。用地、銀行貸付、省エネ、環境保護、生産の安全、品質などにかかわる参入基準と審査手続きを厳格に守り、重要プロジェクトとくに政府や国有資金投資プロジェクトに対して監督・管理、検査を強化し、投資の質や効果の向上に努める。

 

(二)物価総水準の基本的安定を保つこと

これは大衆の利益と経済・社会発展の全局にかかわる重点的な取り組みである。こうした目標の達成に向けて、マクロ経済政策を効果的に実施し、マネーサプライと銀行貸出の総量を適正に調整し、社会の全般的な需給の基本的均衡を保たせた上で、価格規制を上手に行い、物価の反騰を防がなければならない。

生産を拡大し、供給を保障する。引き続き食品価格の急騰を抑制することを物価の安定化に向けた重点課題と位置付ける。「米袋」(食糧生産)の省長責任制と「買物かご」(副食品)の市長責任制を確実に実施し、主要農産物の供給を保障する。大・中都市は適正な広さの野菜畑を確保し、地元にある旬の野菜の自給率の安定化と向上を図り、さらに周辺地区や比較優位のある生産地と連携して「買物かご」関連商品の供給拠点をつくり上げる。重要商品の生産・輸送・販売の間の整合性を強化し、国の備蓄体制と民間の備蓄体制を充実させ、主要農産物の買付・備蓄・放出をよりよく進め、市場に対するコントロール能力を高める。

流通の活性化をはかり、コストを引き下げる。野菜など生鮮農産物の輸送に関する「グリーン通路」(通行料の無料化)政策を厳格に実行する。農産物の卸売市場、自由市場、コミュニティーの青果直販店などを対象とした支援策を真剣に実行させ、都市部のスーパーチェーンストア、大学、大手企業、コミュニティーと農産物流通業者、専業協同組合、大規模な栽培・飼育・養殖農家との産直販売を奨励することにより、流通チャンネルの段階を減らし、小売業の商店網を広げる一方、主要流通ルートの機能を十分に生かしていく。流通体制の改革を深める。物流業者向けの営業税差額方式(売上から仕入を差し引くこと)の課税政策の試行範囲を拡大し、大口商品貯蔵施設の土地使用に関する租税政策を完全なものにする。特定農産物の卸売・小売に関する付加価値税政策を調整し、充実させ、流通分野の標準化・情報化整備を推し進める。より多くの対策措置を講じて、流通の効率向上と中間段階の費用削減を確実に進め、生産者と消費者がともに実益を得るようにしなければならない。

監督・管理の強化と秩序の規範化を図る。食品、医薬品の価格と医療衛生、通信、教育などのサービス料金に対する監督・検査を重点的に強化する。交通運輸分野のむやみやたらな費用の徴収と罰金を断固として処置するとともに、大手小売業者の法規に違反した費用徴収の行為を是正する。ニセの情報を流布させることにより、買いだめや価格操作、悪質な投機を働くといった違法行為を厳しく取り締まる。世論の動向をしっかり把握し、社会的インフレ期待を正しく導いていく。

 

(三)農業の安定した発展と農民の持続的な収入増を促すこと

工業化と都市化の発展過程において、農業の現代化をさらに重視する必要がある。あくまで「三農」問題をよく解決することを諸般の活動における最重要課題と位置づけ、「強農・恵農・富農」政策の実施にいっそう力を入れて、農業・農村の好ましい情勢を確固たるものにし、発展させる。

農業生産の発展を安定させ、多角的ルートを通じて農民の収入増を図る。食糧安定増産キャンペーンを引き続き繰り広げ、穀物の栽培面積を安定して確保することに努め、単位面積当たりの増収に取り組む。農民が構造を調整して、供給不足の農産物と良質な農産物の生産を拡大するよう導き、野菜や、食肉・タマゴ・ミルク、水産物などの生産をサポートする。引き続き農業補助金の総額を増加させ、補助金のベースを引き上げ、補助の対象範囲を拡大し、機構を完備させる一方、新規補助金を大規模な栽培・飼育・養殖農家や農民専業協同組合及びさまざまな生産サービス機構に重点的に傾斜させる。引き続き食糧最低買付価格を引き上げ、今年度小麦、籾米の最低買付価格をそれぞれ五〇キロ当たり七・四元、一六元引き上げる。主要産地向けの利益補償メカニズムを整備し、食糧・食用油、ブタ肉など重要農産物の生産拠点となっている県に対して奨励金・補助金を増やす。新たな十ヵ年農村貧困脱却扶助開発要綱を実施し、国の貧困脱却扶助に関する新しい基準に従い、全面的に貧困脱却扶助開発に取り組む。多数の生活困窮者が居住している特別困難な地域での貧困脱却扶助開発にいっそう力を入れ、貧困扶助の対象者が改革と発展の成果をいっそう共有できるよう努める。

農業の科学技術の進歩を速める。農業の根本的な活路は科学技術にかかっている。従って、農業科学技術のイノベーションに力を入れ、優良品種の育成や疫病の予防・抑制、農産物の品質の安全などにかかわるコア技術の研究開発と応用をさらにバックアップする。末端における農業技術普及・サービス体系の改革と整備を早急に推進し、郷鎮または地域ごとの農業の公共サービス機構を健全化する。農業技術への補助制度を充実させ、先進的かつ実用的な農業技術が各農地や農家まで普及するよう促す。現代的農業のモデル地区の整備をしっかり進め、高収穫と標準化に向けた生産活動を推進する。農業機械化のプロセスを加速させる。

農業・農村のインフラ整備を強化する。今年度、中央財政は「三農」への投入資金として、前年度より一八六八億元増の一兆二二八七億元を計上することになる。この予算配分により、灌漑地区における関連施設の改造と小型農地水利施設の整備を進め、節水型農業を大きく発展させるとともに、土地の開発・整理・再開墾をいっそう強化し、干ばつや水害に強い高基準の基本農地を大掛りに整備する。また、中小河川の治水や、小型ダムの改修・補強、土石流などの地質災害総合対策をいち早く推進する。そして、農村における用水・水道、電気、道路、メタンガス施設や文化、スポーツ施設などのインフラ整備を強化し、農村の環境整備を推進するとともに、農村の老朽家屋の改築を早期に進め、農村の生産、生活条件を引き続き改善する。

農村の改革を深化させる。農村の基本的な経営制度を揺るぐことなく貫いていく。土地使用権の登録と使用証明書の発行手続きを確実に行う。土地請負経営権、住宅用地使用権、集団収益分配権は法律に定められた農民の財産権であり、いかなる者によっても侵されてはならない。土地請負経営権の譲渡に対する管理とサービスを強化し、適正な規模の経営を育てる。耕地を厳格に保護する。農村の集団所有地の収用と補償に関する条例を制定する。農民専業協同組合と、産業化を先導する企業の発展をサポートし、さまざまな形で農業の社会化されたサービスを押し広げてゆき、農業保険をいっそう展開させ、農業の産業化と組織化の水準を高める。引き続き農村の総合改革を深める。国有農場・営林場の体制改革を推進し、引き続き集団所有林の林権制度の改革を深める。

 

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