政府活動報告(2012)

 

(一)マクロ・コントロールを強化、改善して、物価の急騰を抑制し、経済の安定したより速い発展を実現した。われわれは積極的な財政政策と穏健な金融政策を実施し、経済の安定したより速い発展を保つことや経済構造の調整とインフレ期待の管理との関係をあくまで正しく処理し、政策を実施するうえでの重点や取り組みの度合い、段取りのつけ方を一層重視するとともに、慎重にして柔軟性に富む、適時かつ適切なコントロールを進めることに努め、政策の的確さ、柔軟性と予見性を絶えず高めた。世界じゅうでインフレ期待が日増しに高まる中で、国際市場における大口商品の価格が高値圏で推移しつつあり、国内の生産コストが著しく上昇し、一部の農産物の供給も逼迫したままであった。こうした厳しい情勢を受けて、われわれは物価総水準の安定化をマクロ・コントロールの最重要課題として位置づけ、総合対策を講ずる方針を貫いた。特に金融政策の手法を適切に運用し、マネーサプライや銀行貸出の伸び幅を調節するとともに、生産の発展に大きな力を入れて供給を確保し、流通を活性化させ、監督と管理を強化した。これにより、消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の上昇幅は八月から月を追って下落するようになり、物価が一時的に急騰した勢いを反転させた。下半期には、世界経済に不安定性と不確実性が強まり、国内経済の運営にも新しい状況や問題がいくつか生じた。これを踏まえて、われわれはあくまでマクロ・コントロールの基本方針を守り、マクロ経済政策の基本的な安定を保ちながら、引き続きインフレの抑制に取り組んだ。それと同時に、適時かつ適切な事前調整や微調整を行い、貸付政策と産業政策との整合性を高め、構造的減税にいっそう力を入れるとともに、実体経済では特に小企業・零細企業を、民生関係プロジェクトでは特に保障タイプ住居プロジェクトを重点的に支援し、建設中または建設の継続を必要とする国の重要プロジェクトの資金需要を重点的に確保した。こうして、経済運営で浮き彫りになった矛盾をそれぞれの実状に応じて解決した。また、われわれは不動産市場に対する規制を断固として強化し、規制政策が確実に貫徹され、効果をあげるよう努めた。このため、投機的需要と資産運用を目的とした需要が明らかに抑制され、かなり多くの都市で住宅価格が前期に比べて低下し、規制の効果が現れつつある。そして、われわれは財政・金融分野における潜在的なリスク要因の予防と解消を大いに重視し、地方政府の債務に対し全面的な会計検査を早期に行った結果、長年にわたり累積してきた地方政府の債務総額の規模や形成の経緯、返済期限、地域的分布をはっきりとつかんだ。こうした債務は経済社会の発展のなかで積極的な役割を果たした上、多くの良質な資産を築き上げたが、ある程度のリスク要因をともない、とくに債務返済能力の比較的弱い地域では隠れたリスクが一部存在している。それゆえ、われわれは債務の整理・整頓・規範化の作業を真剣に進め、債務の膨張を厳しく抑え、債務の返済と建設中のプロジェクトをめぐる追加資金調達の問題を積極的かつ着実に解決した。今のところ、わが国の政府の債務は管理可能な水準にあるので、安全である。全般的に見れば、わが国の国民経済は引き続きマクロ・コントロールの所期の目標に向かって発展し、リスク回避の能力が絶えず強まり、経済は堅調な伸びを保ち、物価も次第に安定しつつあり、全体としてのパフォーマンスがかなり良く、民生面もさらに改善されているという好ましい傾向を見せている。

 

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