(二)経済発展パターンの転換を速めて、調和の取れた発展の度合と産業の競争力を高めた。われわれは援助の必要な分野と抑制しなければならない分野を明確にする方針を堅持して、経済構造の調整と産業の最適化・高度化を促し、経済発展の持続力を強めることに努めている。
農業の基礎的地位をうち固め、強化した。「強農・恵農・富農」(農業を強化し、農民に実益をもたらし、農民を豊かにする)政策を全面的に貫徹する上で、農業生産への助成にいっそう力を入れ、食糧の最低買付価格を着実に引き上げたほか、農地水利施設を重点とする農業・農村のインフラ整備を強化し、農村の土地整理を進め、農業分野の科学技術サービスと防災・減災対策を強化した。中央財政の「三農」(農業・農村・農民)関係支出は一兆元余りに達し、前年度より一八三九億元増えた。こうして、農業は全面的な豊作をおさめ、食糧総生産高がこれまで稀に見る「八年連続の増加」を実現し、五年連続で五億トンを上回った。これはわが国の食糧の総合的生産能力が安定して新たな大台に躍進したことを示している。また、引き続き農村の老朽家屋の改築を推進し、六三九八万人に上る農村の人々の飲料水の安全問題と、六〇万人に及ぶ電力未整備地区への送電の問題を解決したため、農村の生産・生活条件はいっそう改善された。
産業構造の最適化と高度化を加速させた。戦略的新興産業の育成に力を入れたため、新エネルギーや新素材、バイオ医薬品、先端装置製造、新エネルギー自動車の発展が加速化し、「三網融合」(電気通信・放送・インターネットの三つのネットワークを一体化すること)、クラウド・コンピューティング、モノのインターネットのモデル事業のテンポも速まった。企業の吸収・合併と再編には新たな進展が見られている。重点産業の振興と技術改良の支援に向けて、中央予算に一五〇億元の投資資金を計上し、これにより四千以上のプロジェクトを助成し、三〇〇〇億元に及ぶ総投資額を引き出した。情報コンサルティングや電子商取引などの現代的サービス業の発展を速めることで、新興サービス業の分野が絶え間なく開拓されている。交通運輸産業が急速に発展し、経済社会発展のための基盤が一段とうち固められた。
省エネ・排出削減と生態環境の保護を推進した。第十二次五ヵ年計画期における省エネ・排出削減に関する包括的対策、温室効果ガス排出規制に関する対策及び環境保護における重点活動の強化に関する指針を公布し、実施に移した。クリーン・エネルギー発電の設備容量は二億九〇〇〇万キロワットに達し、前年度より三三五六万キロワット増えた。重点的な省エネ・環境保護プロジェクトの建設を強化することにより、都市部の汚水処理能力が一日当たりでさらに一一〇〇万トン向上し、総容量で五〇〇〇万キロワット余りに上る新規石炭火力発電設備にはすべて脱硫装置が設置された。エネルギー消費が過大、汚染物質の排出量が高い、生産能力が過剰といった産業に対する規制を強化することにより、技術の立ち遅れた生産能力はセメント一億五〇〇〇万トン、製鉄三一二二万トン、コークス一九二五万トンそれぞれ廃棄された。天然林保護の第二期プロジェクトを実施したうえ、助成金基準を引き上げた。また、草原の生態系保護の助成・奨励政策を実施し、湖沼生態環境保護のモデル事業を進めた。植林面積は約六一四万ヘクタールに達した。
地域経済のバランスの取れた発展を促進した。地域発展の総体的戦略と全国主体機能区計画を踏み込んで実施した。チベット自治区や新疆ウイグル自治区などの地域の飛躍的発展の促進に関する一連の優遇政策を公布し、実施した。新たな十ヵ年(二〇一一~二〇二〇年)農村貧困脱却扶助開発要綱と辺境地域の振興・富裕化行動計画を策定し、実行に移した。これらの施策により地域発展のバランスが一層高まり、中・西部と東北地区では主要経済指標の伸びが全国の平均水準を上回り、東部地区では産業の業態転換と高度化が加速した。都市化率が五〇%を上回って、中国の社会構造における歴史的変化の一つとなった。四川省汶(ブン)川(セン)大震災の復興の任務を成功裏に完遂するとともに、青海省玉樹地震、甘粛省舟曲土石流、雲南省盈江地震の災害救助対策と復興活動を積極的に推進した。
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