(四)民生の保障・改善に確実に取り組んで、大衆の切実な利益にかかわる問題を解決した。われわれは何よりも民生を優先させ、発展の成果が全人民に恩恵をもたらすようにして、社会の公正と正義を促した。
いっそう積極的な雇用政策を実施した。さまざまなルートを通じて雇用を創出し、起業による雇用の創出を全力で促進し、職業技能訓練と公共就業支援システムの整備を強化した。財政や税制、金融などの諸方面から支援の度合いを大きくすることにより、大卒者、農民工などを重点とした人々の就業を促進した。その結果として、大学新卒者の就職内定率が七七・八%となり、前年同期比一・二ポイント上昇した。農民工の総数は前年度比四・四%増の二億五三〇〇万人となり、そのうち、出稼ぎの農民工は一億五九〇〇万人で、前年度に比べて三・四%増となった。
所得分配関係の調整を積極的に行った。重点的に低所得層の所得向上に力を入れた。農村住民一人当たりの純収入の実質的伸び率は二年連続して都市部住民を上回り、一九八五年以来最も高くなった。また、各地は一様に最低賃金ベースを大幅に引き上げた。七年連続で企業の定年退職者の基本養老年金を引き上げ、一人当たりの年額を一六八〇元増やしたため、五七〇〇万以上の人々が実益を得た。都市と農村の最低生活保障の補助金基準および一部の優遇扶助者の扶助手当と生活補助金の基準をさらに引き上げたほか、全国の都市と農村における最低生活保障対象者や、農村の「五項目(衣・食・住・医・葬)」扶養対象者など経済的困難を抱えている八六〇〇余万の人々に生活手当の一時金を支給した。そして、社会的救済・保障の基準を物価上昇にスライドさせる仕組みを構築した。一方、中所得層の占める割合を高めることに努めた。個人所得税の基礎控除額を二〇〇〇元から三五〇〇元に引き上げた。九〇〇万以上の自営業者の税負担を軽減した。中央は農民一人当たりの年間純収入二三〇〇元(二〇一〇年度の基準価格に基づく)を、国の貧困脱却扶助の新たな最低基準と定めたが、この基準は二〇〇九年度より九二%高くなった。このため、農村におけるより多くの低所得層の人々が貧困脱却扶助の適用範囲に組み入れられた。これは社会の大きな進歩である。
社会保障システムの整備を強化した。社会保障のカバーエリアが拡大し続けており、全国で都市部の基本養老保険や、失業、労災と出産などの諸保険の加入者数は大幅に増加した。具体的には、二一四七の県(市、区)で試行された都市部住民の社会養老保険に一三三四万人が加入し、六四一万人が養老年金を受給した。二三四三の県(市、区)で試行された新しいタイプの農村社会養老保険に三億五八〇〇万人が加入し、九八八〇万人が養老年金を受給しており、そのカバー率が六〇%以上に高まった。長年来懸案となっていた集団所有制企業の定年退職者の養老保障の問題が解決されたのは五〇〇万人余りに達した。三一二万人に及ぶ企業の「労災保険条例公布前の労災認定者」と、労災により死亡した職員・労働者の扶養遺族を労災保険に組み入れ、一元的な管理をした。養老保険に関する地域間ポータビリティー規定が秩序よく推し進められた。社会保障システムがますます健全化され、全国における社会保障制度の普及に向けて重要な一歩を踏み出した。これは基本的公共サービスの均等化を推し進める上で収めた重要な成果である。
保障タイプ住居プロジェクトの建設を大いに推進した。保障タイプ住居プロジェクトの建設と管理に関するマニュアルを公布し、財政投入や用地供給、融資の支援、税金や費用の減免などの諸政策を充実させるとともに、プロジェクトの開発計画と工事の質のレベル・アップに重点的に取り組み、保障タイプ住宅の分配・管理・退出などの仕組みや方法を制定した。都市部の保障タイプ住宅は通年でほぼ四三二万戸完工し、新規着工された戸数は一〇四三万戸であった。これに振り向けた中央財政の資金は一七一三億元で、二〇一〇年度の二・二倍となった。
公共の安全を守ることに努めた。生産の安全に対する監督・管理を強化し、安全にかかわる重大・特大事故の処置、調査、問責に取り組んだ。食品の安全に対する監督・管理の体制・仕組みを充実させ、食品添加物の違法な使用と食品の違法な加工・生産を集中的に取り締まり、是正した。また、あくまでも人間本位を旨として、サービスを最優先させることを踏まえて、社会管理を強化、刷新し、さまざまの社会的矛盾の全面的な調査、解消に重点的に取り組んだ上、法律に基づいて違法な行為や犯罪活動を厳しく取り締まり、社会の調和と安定を維持した。
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