(二)物価の上昇に一応歯止めがかかった。
市場供給は安定を維持した。食糧生産を中心に農業の発展に力を入れ、野菜生産基地の建設を後押しし、養豚業支援政策を徹底させた。綿花・菜種・大豆・トウモロコシの臨時買付・備蓄を実施し、北方大都市の冬・春野菜備蓄制度を確立した。トウモロコシ・大豆・食用油・綿花・砂糖・豚肉など品薄商品の輸入と放出を適時に行い、国が備蓄している食糧と砂糖を累計でそれぞれ三九八六万トン、一二七万トン放出した。
金融状態指数(MCI)は著しく改善された。さまざまな金融政策手段を総合的に運用し、預金準備率を六回、預金・貸出基準金利を三回引き上げた。人民元建て融資の新規増加は通年で七兆四七〇〇億元となり、前年度の増加分より三九〇一億元減少した。年末時点での広義のマネーサプライ(M2)は前年同期比一三・六%増で、所期目標を二・四ポイント下回った。
流通コストをコントロールした。農業や企業に対する課徴金を部分的に撤廃・軽減・免除した。農産物・副業生産物の生産に必要な水と電気について料金優遇策を実施したり、野菜の卸売と小売にかかわる付加価値税を免除した。有料道路の通行料金の合理化と政府が銀行融資で建設した二級自動車道路の通行料金の廃止を順を追って推し進めた。自由市場の売り場使用料とスーパーの出店料を一段と規範化した。
市場への監督管理を引き続き強化した。一部の小売・サービス企業の価格違法行為を厳しく取り締まり、価格詐欺や悪質な買いだめ、物価上昇のデマなどの撲滅キャンペーンを踏み込んで展開するとともに、独占価格禁止の法令の執行を大いに推進した。価格関連のさまざまな違法案件を年間計四万五一〇〇件取り調べ、処分し、経済的制裁として計二〇億九一〇〇万元の罰金を課した。
物価上昇率は徐々に低下した。消費者物価指数前年同月比は、七月の六・五%から十二月の四・一%へと、月を追うごとに下がったが、通年では五・四%となったため、所期目標を達成できなかった。重点都市の住宅価格の上昇幅は縮小した。全国七〇の大中都市のうち、十二月の新築商品化住宅価格が前年同期比で下落した都市は九つあり、前月比で下がった都市は五二に増えた。
物価上昇の影響は緩和された。社会的救済・保障の基準を物価上昇にスライドさせる仕組みを全面的に構築したり、法に基づいて価格調節基金制度を確立し、それを絶えず充実させたり、各地で年間累計百億元近くの物価臨時手当を支給した。
(三)農業と農村の発展は好ましい勢いを保った。
主要農産物の生産高は全面的に伸びた。夏糧(夏に収穫する食糧)、早稲、秋糧(秋に取り入れる穀物)はすべて豊作で、それぞれ前年度比二・五%増、四・五%増、五・一%増となった。年間食糧総生産量は四・五%増の五億七一二一万トンで、八年連続の増産を実現し、総生産高と単位面積収穫高はいずれも史上最高を更新した。搾油作物の生産量は一・五%増の三二七九万トン、製糖作物の生産量は四・三%増の一億二五二〇万トン、綿花の生産量は一〇・七%増の六六〇万トン、肉類の総生産量は〇・四%増の七九五七万トン、水産物の生産量は四・二%増の五六〇〇万トンであった。
「強農・恵農・富農」(農業を強化し、農民に実益をもたらし、農民を豊かにする)政策を全面的に実施した。「三農」(農業、農村、農民)向けの全国財政支出は二兆九三四二億元に達し、前年度比二一・二%増となった。中央予算枠内の投資のうち農業・農村建設への支出が占める割合は五〇%を超えた。食糧生産能力を新たに五〇〇〇万トン増やす事業を全面的に推進するとともに、河川の治水や、基幹水源地・大型灌漑区の整備、節水に向けた設備の改築・改善などの重点プロジェクトへの投入を増やしたり、農地水利の整備と中小河川の治水を強化した。年間で耕地を三一万三三〇〇ヘクタール以上拡張し、高水準基本農地を四〇〇万ヘクタール以上造成した。農業生産への補助金を増やし、小麦と籾米の最低買付価格を平均して五〇キロ当たりそれぞれ五・四元、一四元引き上げた。
農村の生産・生活条件はいっそう改善された。農村住民と農村学校の教職員・児童・生徒計六三九八万人の飲料水安全問題を解決したことで、農村の安全な飲料水の普及率は七五%に達した。農村送配電網を三四万キロ新規建設・改良し、農村自動車道路を新たに一九万キロ改修・建設し、水力発電の開発を柱とする新農村電化県事業を三三一の県でスタートさせた。メタンガス利用世帯が二八〇万世帯、燃料代替のための小水力発電を利用する世帯が一一万世帯増えた。農村の老朽家屋を前年度比一四五万戸増の二六五万戸改修した。容量四三〇万トン分の食糧備蓄倉庫と一一五の農産物卸売市場の建設、そして、一八六の農産物コールドチェーン(低温物流)プロジェクトの実施をサポートした。農村部の流通分野の「万村千郷」市場プロジェクト(農村における現代的流通網の整備)とチェーン店経営拠点網の整備をいっそう推し進めた。
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