第十二次五ヵ年計画の実施状況は、全般的にスムーズであった。⑴ 年度別に分割されている七つの義務的指標中の十一のサブ指標のうち、八つのサブ指標――工業付加価値当たりの水使用量、化学的酸素要求量(COD)、二酸化硫黄排出量、アンモニア性窒素排出量、都市部基本養老保険の加入者数、都市・農村三種類の基本医療保険の加入率、都市部の保障タイプ住居プロジェクト、全国総人口――は、年度任務を達成、または超過達成した。ただし、残りの三つのサブ指標――GDP当たりのエネルギー消費量、二酸化炭素排出量、窒素酸化物(NOx)排出量――は、年度計画目標を達成できなかった。⑵ 年度別に分割されている九つの所期指標のうち、七つの指標――国内総生産(GDP)、小都市化率、高等学校への粗進学率、都市部住民一人当たりの可処分所得、農村部住民一人当たりの純収入、都市部の登録失業率、都市部の新規雇用者数――は、所期の年度目標を達成、または超過達成した。ただし、残りの二つの指標――サービス業の付加価値の割合、GDPに占める研究開発経費支出の割合――は、所期の年度目標を達成できなかった。⑶ 一部の指標が年度計画任務あるいは所期の年度目標を達成できなかった主な原因は次の通りである。①経済発展パターンがまだ根本的には転換されておらず、経済構造調整が依然として立ち遅れ、重化学工業の比重がかなり高く、産業技術が全般的に低いレベルにとどまっている。②一部の義務的指標は第十二次五ヵ年計画により初めて定められたものであるため、事業基盤がかなり弱く、効果的な政策措置が整備されていないか、措置があってもその効果が十分に発揮されていない状態で、実際の事業運営もまだまだ改善の必要がある。
複雑で厳しい国内外の環境のもとにもかかわらず、わが国の経済・社会発展は良好な勢いを保つことができたが、それは生易しいことではなかった。それは、党中央・国務院が科学的な政策決定と正しい指導を行い、各地区・各部門がたゆまず努力して着実に仕事に取り組み、全国各民族人民が心を一つにして団結奮闘したたまものであり、中国の特色ある社会主義制度の優位性を存分に示している。
こうした成果を十分に肯定しつつも、われわれは、二〇一二年度のマクロコントロールが直面する状況も複雑で厳しいものになる、ということをはっきり認識している。国際的には、世界経済回復の不確実性・不安定性が高まり、景気下押しの圧力が明らかに増大し、欧州ソブリン債務危機が深刻さを増し、国際金融市場が激しく揺れ動き、保護貿易主義と保護投資主義がいっそう強まっている。さらに、国際的・地域的な緊張や紛争が跡を絶たず、世界のエネルギー資源の安定供給が大きな試練にさらされている。国内では、発展における不均衡・不調和・持続不可能の問題・矛盾が依然として際立っている。第一に、経済成長に押し下げ圧力が存在していることが挙げられる。外需の低迷と内需の鈍化を同時に迎える可能性がある。わが国では二〇一一年九月以来、輸出の伸び率が下落し続けているため、二〇一二年はより大きな困難に直面することになる。内需の伸びを制約する要素が引き続き増えているため、消費の伸びが安定しつつも鈍化する可能性があり、企業の投資能力と意欲がいくらか弱まっている。第二に、物価押し上げ圧力が依然としてかなり大きいことが挙げられる。労働力・土地・エネルギー資源といった要素価格の上昇が長期化する傾向を呈している一方、輸入型のインフレ要因も無視できず、一部農産物の逼迫した需給構造が変わることも考えられない。さらに、資源関連製品の価格調整もある程度物価総水準を押し上げることになると見込まれる。第三に、農業の安定した増産がかなり難しいことが挙げられる。農業の基盤がまだ不安定で、科学技術水準も低く、資源による制約も強まっており、農業による収益は相対的に低い水準にとどまっている。さらに、食糧は「八年連続の増産」を達成したものの、生産量がすでにかなりの規模に達しているという問題や、生産コストが高いなどの新しい課題に直面している。第四に、省エネ・排出削減活動を取り巻く状況が厳しいことが挙げられる。構造的な不合理さが顕著な問題となっており、旧式生産能力の廃棄を完了させるとともに、サービス業と戦略的新興産業の発展を支える市場や政策面の環境づくりを強化する必要がある。エネルギー消費量の伸びが比較的速い、省エネ・排出削減を図るための長期的で効果的なメカニズムがまだ整っていない、汚染物質の排出量が依然としてやや多いといった問題があるほか、環境汚染事件が多発する傾向を呈している。第五に、一部の企業がさらなる経営難に陥っていることが挙げられる。一部の業種の生産能力過剰の問題が顕在化し、企業の赤字が増大している。なかでも、小企業・零細企業の経営難がとくに目立っている。一方、財政・金融分野にリスクが潜在しており、不動産市場のコントロールが正念場を迎えているほか、所得分配における格差が依然として大きく、教育や医療衛生の改革・発展への取り組みも容易に進まず、加えて、安全生産や製品品質、土地収用・家屋立退きなどについて大衆が強い不満を抱いているという問題が存在し、社会の安定と調和が脅かされている。以上の問題を、われわれは重く受け止めて、その解決と対応に真摯に取り組んでいく。
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