2011年度国民経済・社会発展計画の執行状況と2012年度国民経済・社会発展計画案についての報告

 

三 二〇一二年度の経済・社会発展の主要任務と措置

二〇一二年は第十二次五ヵ年計画の実施において過去を受け継ぎ未来を切り開く重要な年である。経済・社会発展の諸般の活動にしっかり取り組むことは、国際金融危機への取り組みで収めた成果を打ち固め、拡大し、科学的発展を促し、経済発展パターンの転換を速める上で、非常に重要な意義を持っている。経済・社会の発展目標と任務をスムーズに達成するには、安定の中で発展を求め続けるという全般的な基調をしっかりと把握し、「経済の安定成長と物価の安定化や経済構造の調整、民生の優先、改革の強化、調和の促進」という要請にしたがい、重点として次のような十項目の活動に取り組むべきである。

(一)的確性・柔軟性・先見性をさらに高め、マクロコントロールの強化・改善に取り組む。統一した計画の下で各方面に配慮するようにして、諸目標と任務の釣り合いを着実に保ち、成長率と構造、物価の三者の関係を適切に処理し、とくに経済・社会の発展において鮮明になった矛盾と問題の解決と、経済運営における潜在的リスクへの対応をマクロコントロールの重要な位置に据え、マクロコントロールの度合いとペース、重点を正しく把握する。積極的な財政政策と穏健な金融政策を引き続き実施する。財政政策については構造的減税に関する政策を充実させるとともに、適切な財政赤字と国債の発行額を維持し、支出構造の最適化に力を入れ、民生分野への傾斜をいっそう重視する。二〇一二年度は、全国の公共財政収入の予算額を前年度比九・五%増の一一兆三六〇〇億元とし、公共財政支出を前年度比一四・一%増の一二兆四三〇〇億元とする。財政赤字は八〇〇〇億元計上し、前年度より五〇〇億元減とする。そのうち、中央財政の赤字は五五〇〇億元で、地方債の代理発行額は二五〇〇億元である。金融政策については経済の成長と物価の動向を総合的に考慮し、適切な総量を保ちながら、慎重かつ柔軟に対応するという要請に基づいて、マネー・サプライと銀行貸出を適切に調整し、社会融資の適正な伸びを保つ。また、貸出構造の最適化に力を入れ、国の建設中または建設の継続を必要とする重点プロジェクトと保障タイプ住居プロジェクトの建設をよりいっそう支援し、産業政策に合致しており、かつ市場ニーズのある企業、とくに小企業・零細企業への支援を強化する。融資資金が実体経済へより効果的に投入・運用されるように、貸付後の管理を強化する。引き続き高エネルギー消費・高汚染型業種と生産能力過剰業種への融資を厳しく抑制する。金融のシステミック・リスクの防止・監督管理・協調のメカニズムを確立・健全化し、国際間の資本移動に対する監視を強化し、民間金融が規範に則って発展するよう促進する。二〇一二年度は、広義のマネー・サプライ(M2)は一四%伸び、前年度より〇・四ポイント上昇する見通しである。財政・通貨・投資・産業・価格・土地・環境保全など諸般の政策の整合性を高め、マクロコントロールの総合的な力の形成と規制の科学性の向上、実効性の強化に努める。

(二)内需拡大に力を入れ、経済の安定した比較的速い発展を保つ。⑴ 消費需要の持続的な伸びを促す。二〇一二年度は、社会消費財小売総額が一四%伸びる見通しである。低所得者層の所得引き上げに力を入れ、最低賃金ベースと企業の定年退職者の基本養老年金ベースを穏当に引き上げ、政府機関・事業体の給与制度を充実させる。農村と中小都市において、商品流通、文化・観光、スポーツ・健康増進、ブロードバンド・ネットワークなどのインフラ整備を強化する。省エネ・節水・エコ製品の購入支援策を充実させ、自己居住用として購入した最初の一般商品化住宅向けの融資を優先的に支援する。消費の持続的伸びにつながる長期的政策をさらに検討し、制定する。観光業を鋭意発展させることで、二〇一二年度は観光業の総売上高が一〇%増の二兆四七五〇億元に達する見込みである。有給休暇制度の実施に取り組み、文化、観光、フィットネス、家事代行サービス、医療衛生・保健、高齢者福祉などの面での消費を奨励し、オンライン・ショッピングなど新たな消費業態を鋭意発展させる。消費者金融を拡大する。製品の品質・安全に対する監督管理を強化し、食品・医薬品の生産と経営に見られる違法行為をより厳しく取り締まる。⑵ 投資構造をさらに最適化する。二〇一二年度は全社会固定資産投資額が一六%伸びると見込まれる。中央予算枠内の投資から四〇二六億元を充て、前年度比二〇〇億元増とすることで、国の審査・認可を得た建設中または建設の継続を必要とするプロジェクトの資金を優先的に確保し、第十二次五ヵ年計画で定めた重要プロジェクトの着工・建設を秩序立てて進め、保障タイプ住居プロジェクトや、教育、医療衛生、水利、さらに、新疆とチベット、青海など四省(青海、四川、雲南、甘粛)のチベット族居住区域等への投入を増やし、「三農」、省エネ・排出削減、環境保全と生態系整備、自主イノベーションと構造調整、社会的事業と社会管理など諸分野のインフラ整備を重点的に支援する。政府系投資プロジェクトと国有投資プロジェクトを中心に重要プロジェクトへの監督・管理・検査を強化し、投資の質と効果を高める。また民間投資を誘導する関連措置と実施細則を充実させ、鉄道・市政・金融・エネルギー・電気通信・教育・医療といった分野への民間投資をサポートする。一方で、高エネルギー消費・高排出業種と生産能力過剰業種のやみくもな拡張にしっかりと歯止めをかけ、党・政府機関のビル・公会堂・ホテル・ゲストハウスの建設を厳しく規制する。⑶ 石炭・電力・石油・ガス・運輸などの運営に対する調節を強化する。石炭の生産・輸送・需要の整合性を高め、電力の需要側管理(DSM)を強化し、石油・ガスの供給を安定させ、運輸の総合運用力を向上させ、重要時間帯、重点地区、重要部門と、住民の生産・生活などの面の需要を確保する。経済運営、とくにエネルギー情勢への分析・検討・判断を強化し、応急対応メカニズムを完備させ、応急対策を強化する。石炭・電力輸送ルートの整備に取り組み、内モンゴル自治区西部から華中地区への石炭輸送ルートの工事着工を急ぎ、鉄道の在来線の石炭輸送能力を高める。今年度の原炭生産量は三・七%増の三六億五〇〇〇万トン前後、原油生産量は前年度と同じレベルの二億四〇〇万トンとなる見通しである。発電量は七・五%増の五兆五〇〇億キロワット時で、貨物の鉄道輸送量は五・八%増の四一億六〇〇〇万トンと見込まれる。一方で、国際市場による調節を通じて、国内の保障能力を向上させる。

 

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