省エネ・環境保護関連の支出は一七六九億一〇〇〇万元で、九%増とする。内訳は、中央レベルの支出六三億四四〇〇万元、地方への移転支出一七〇五億六六〇〇万元。省エネ重点プロジェクトを推し進め、重点分野の省エネ事業を強化し、省エネ製品利民プロジェクトの実施にいっそう力を入れ、旧式生産能力を廃棄し、重金属汚染対策と農村環境総合対策を徹底し、都市部汚水処理施設網の整備を推し進めるために、省エネ・排出削減資金として一三・三%増の一〇六九億一九〇〇万元を割り当てる。天然林保護や、耕地の森林への復元と牧場の草地への復元の成果を定着させるために、昨年度とほぼ同額の四七四億五六〇〇万元を充てる。新エネルギー、再生可能エネルギー、クリーンエネルギーの開発・利用を加速させ、エネルギーのクリーン化を推進して、循環型経済の発展を強くバックアップするため、一四一億元を割り当てる。地球の気候変動問題に積極的に取り組んで、温室効果ガス排出削減目標の達成を促す。
交通運輸支出は三五六五億九三〇〇万元で、八・一%増とする。内訳は、中央レベルの支出四三四億六五〇〇万元、地方への移転支出三一三一億二八〇〇万元。総合的な交通輸送能力を向上させ、幹線国道・省道や、内陸水運、旅客・貨物輸送総合ターミナルなど公共交通のインフラ整備を推進するために、二三六七億四四〇〇万元を支出する。都市部の公共交通や農村部の旅客輸送などの公益的業種に対し引き続き燃料費を補助するため、六五九億四六〇〇万元を充てる。地方政府が銀行融資により建設した二級自動車道路の通行料金廃止を支援するため、補助金として二六〇億元を割り当てる。
資源探査・電力・情報等の関係支出は八七七億二六〇〇万元で、六・一%増とする。内訳は、中央レベルの支出四五〇億六〇〇〇万元、地方への移転支出四二六億六六〇〇万元。中小企業、とくに小企業・零細企業の発展を促進するために、四二・四%増の一四六億五九〇〇万元を割り当てる。資源探査・電力・情報などのインフラ整備を推し進めるため、三九六億七四〇〇万元を充てる。戦略的新興産業の技術研究開発と産業化モデル事業を引き続き支援するため、七〇億元を割り当てる。
食糧・食用油等の物資備蓄関係支出は九七四億一九〇〇万元で、九・四%増とする。内訳は、中央レベルの支出六〇九億五七〇〇万元、地方への移転支出三六四億六二〇〇万元。引き続き食糧生産直接補助政策を実施するために、食糧リスク基金として三二〇億三〇〇〇万元を割り当てる。食糧・綿花など主要農産物の買付・備蓄制度を健全化し、小麦や籾米の最低買付価格を着実に引き上げるために、食糧・食用油等重要物資備蓄資金として五一八億七六〇〇万元を充てる。
国防支出は六五〇三億一一〇〇万元で、一一・四%増とする。内訳は、中央レベルの支出六四七九億二〇〇〇万元、地方への移転支出二三億九一〇〇万元。国防と軍隊の現代化をバックアップし、部隊の訓練や生活条件を改善し、多様化する軍事任務の遂行能力を高める。
公共安全保障支出は一八二六億六四〇〇万元で、七・七%増とする。内訳は、中央レベルの支出一一四二億八九〇〇万元、地方への移転支出六八三億七五〇〇万元。公安・検察・司法経費保障体制を充実させて、地方の公安・検察・司法経費補助水準を着実に引き上げる。地方、とくに中・西部地区の公安・検察・司法機関のインフラ整備にかかわる債務の解消と、公共サービスと社会管理の能力向上を支援する。末端監督管理部門の食品検査能力を強化することで、食品の安全性を高め、確保する。
⑶ 中央から地方への租税還付と移転支出の内訳
中央から地方への租税還付と移転支出は一三%増の四兆五一〇一億元とする。内訳は、租税還付が二・二%増の五一八八億五五〇〇万元、一般的移転支出が二三・一%増の二兆二五二六億一九〇〇万元、特別移転支出が五・二%増の一兆七三八六億二六〇〇万元。一般的移転支出のうち、地方財政力均衡化のための移転支出は八五八三億六五〇〇万元(これには次の支出が含まれる――県レベルの基本財政力保障体制の奨励金・補助金一〇七五億元、重点生態機能区への移転支出三七一億元、食糧の主要生産県に対する奨励金二七七億六五〇〇万元)、義務教育などへの移転支出は一六八〇億三二〇〇万元、基本養老年金と最低生活保障補助金などへの移転支出は三七七四億三八〇〇万元、新しいタイプの農村合作医療などへの移転支出は一〇六三億四八〇〇万元、村レベル公益事業の奨励・補助などへの移転支出は二五三億九〇〇万元、精製油の税・費用改革のための移転支出は七八四億元とする。
以上の各項目の支出を集計すると、二〇一二年度に中央財政が人々の生活に直結する教育、医療衛生、社会保障・雇用、住宅保障、文化方面に充てる民生支出は計一兆三八四八億元となり、一九・八%の伸びとなる。農業・水利、公共交通運輸、省エネ・環境保護、都市・農村のコミュニティー関係など、民生に緊密に関連する支出は合計で一兆五一二四億元となる。中央から地方への租税還付と一般的移転支出のほとんども民生の保障・改善に充てられる。中央財政の「三農」向け支出は計一兆二二八六億六〇〇〇万元で、一七・九%伸びる。その内訳は、農業生産支援の支出が四七二四億二〇〇〇万元、農民向けの食糧生産直接補助金、農業生産財総合補助金、優良種子補助金、農業機械購入補助金の支出が一六二八億元、農村の教育や医療衛生など社会的事業の発展促進の支出が五三一三億九〇〇〇万元、農産物備蓄費用・利払などの支出が六二〇億五〇〇〇万元とする。中央基本建設投資として計四〇二六億元を充てる。
中央予算安定化基金の運用について。二〇一一年度開始時点の残高は八七八億元であったが、予算執行の過程で収入超過分から補充したり、支出剰余金から繰り入れることにより、計二八九二億元増え、二〇一一年度末時点の残高は三七七〇億元となった。二〇一二年度年初予算へ二七〇〇億元を繰り入れるため、残額は一〇七〇億元となる。
|