１ 中央財政予算の主要収支項目の執行状況

⑴ 主要収入項目の執行状況と収入超過分の配分状況

財政収入の状況は総じて比較的良好であった。これには経済の安定した比較的速い成長や企業の業績の好調、物価の上昇、租税の徴収・管理レベルの向上、さらに、一昨年度まで予算外資金として処理していたものを予算管理に組み入れることにしたこと等の要因が総合的に反映されている。中央財政収入は予算を五四四六億元上回った。これは主として、当初の歳入予算が二〇一一年度国民経済・社会発展計画の予想関連指標に基づいて算出されたものであるのに対し、予算の執行の過程でこうした経済指標の大部分が見込みを上回り、税収がそれに応じて予算を上回ったからである。具体的に言えば、輸入が二四・九％増となり、当初の予測をかなり上回ったため、輸入関連の税収も予算を二七二九億元上回った。一定規模以上の工業付加価値が一三・九％、全社会固定資産投資が二三・六％、社会消費財小売総額が一七・一％、消費者物価が五・四％、工業生産者出荷価格が六％、工業生産者購入価格が九・一％伸び、いずれも当初の見込みを上回ったため、国内付加価値税と消費税による収入が予算を一一四三億元上回った。全国の一定規模以上の工業企業の収益が二五・四％伸び、当初の予想を上回ったため、企業所得税による収入が予算を一六四二億元上回った。（ただし、輸出税還付も予算より一二〇〇億元増えたため、財政収入から相応額が差し引かれる）

主要収入項目。国内付加価値税収入は一兆八二七七億三九〇〇万元で、予算の一〇四％を達成。国内消費税収入は六九三五億九三〇〇万元で、予算の一〇六・七％を達成。輸入品の付加価値税・消費税収入は一兆三五六〇億二六〇〇万元で、予算の一二〇・九％を達成。関税収入は二五五九億一〇〇〇万元で、予算の一一七・九％を達成。企業所得税収入は一兆二一億八一〇〇万元で、予算の一一九・六％を達成。個人所得税収入は三六三三億六〇〇万元で、予算の一一六・四％を達成。輸出品の付加価値税・消費税還付は九二〇四億七四〇〇万元で、予算の一一五％を達成。税外収入は二六七六億九五〇〇万元で、予算の一二八・七％を達成。

収入超過分の配分状況。関連法律法規と第十一期全国人民代表大会第四回会議の関連決議の要請にしたがって、中央財政の収入超過分五四四六億元のうち、地方への租税還付と一般的移転支出の増額に九四四億元、教育支出の増額に三〇〇億元、科学技術支出の増額に七六億元、保障タイプ住居プロジェクトの増額に一六〇億元、自動車道路建設費および一部の生活困窮者・公益的業種に支給する燃料費補助金の増額に六二一億元、生活困窮者に支給する生活補助一時金の増額に二〇七億元を割り当てた。中央財政の赤字削減のために五〇〇億元を回し、中央予算安定化基金の補充費として二六三八億元を充て、翌年度の予算に繰り越すこととした。二〇一一年度の中央財政の収入超過分の配分状況については、すでに国務院が第十一期全国人民代表大会常務委員会第二十四回会議に報告済みである。

⑵ 主要支出項目の執行状況

中央の定めた政策と活動計画にしたがい、全国人民代表大会の審議と承認を受けて、中央財政が農業や教育、医療衛生、社会保障・雇用、保障タイプ住居プロジェクト、文化、科学技術といった分野への投入をいっそう増やした結果、諸般の重点支出はより確実に保障された。

教育支出は三二四八億六〇〇〇万元で、予算の一〇九・六％を達成し、二七・五％伸びた。内訳は、中央レベルの支出九九九億五〇〇万元、地方への移転支出二二四九億五五〇〇万元。中・西部地区と民族地区の農村における就学前教育の発展を支援するため、一〇一億三〇〇〇万元を支出した。農村義務教育経費保障体制の充実化のために八五九億一〇〇〇万元を充てたことで、農村小中学校の児童・生徒一人当たりの年間公用経費基準額が一〇〇元引き上げられ、全国の農村で義務教育を受けている児童・生徒全員が学費・雑費免除・教科書無償給与政策の恩恵に浴し、一二二八万人の経済的に恵まれない寄宿生が生活補助金を受け、二六〇〇万人の児童・生徒が栄養改善補助金を受給することができた。義務教育が手薄な農村部学校の改善計画を実施するため、一八六億八一〇〇万元を割り当てた。都市部の義務教育段階の児童・生徒二九〇〇万人の学費・雑費を無償化するため、また、農民工が都市に連れてきた一一六七万人の子供が義務教育を受けられるようにするために、七七億元を振り当てた。職業教育の基礎能力をいっそう充実させるため、また、中等職業学校で学ぶ経済的に困窮した家庭の生徒と農業を専攻している学生合わせて三九五万人の学費を免除するために、一三三億九八〇〇万元を充てた。経済的に困窮した家庭の児童・生徒・学生への学資援助に関わる政策や制度を充実させるために三一一億一九〇〇万元を支出したことで、約一八六七万人の境遇が改善された。高等教育の発展を支援するため、一〇九〇億五四〇〇万元を割り当てた。

科学技術支出は二〇三四億六〇〇万元で、予算の一〇四・六％を達成し、一七・七％伸びた。内訳は、中央レベルの支出一九四二億一四〇〇万元、地方への移転支出九一億九二〇〇万元。国家科学技術重要特別プロジェクトの実施に四三五億元を支出した。「九七三計画」などの基礎研究の支援に二九四億八〇〇〇万元を充てた。応用技術研究の強化に九九七億七〇〇〇万元を割り当てた。重要科学研究設備独自開発プロジェクトを全面的にスタートさせて、わが国の科学研究設備の研究開発のレベルを引き上げた。地方における科学技術の基盤整備を強化して、科学研究の環境改善を図った。