交通運輸支出は三二九八億五九〇〇万元で、予算の一一五・一%を達成し、二六・九%伸びた。内訳は、中央レベルの支出三三一億一一〇〇万元、地方への移転支出二九六七億四八〇〇万元。公共交通のインフラ強化に取り組んで、二万キロの国道・省道の改修・拡張と、一〇九一キロの内陸航路の改修、一九万キロの農村自動車道路の改修・新築を実施するため、二一九九億二一〇〇万元を割り当てた。都市の公共交通などの公益的業種に対し燃料費を補助するため、六四一億四八〇〇万元を充てた。政府が銀行融資により建設した二級自動車道路の通行料金の廃止をサポートするため、地方に二六〇億元の補助金を交付した。
資源探査・電力・情報等の関係支出は八二六億九六〇〇万元で、予算の一一一%を達成した。内訳は、中央レベルの支出四六四億一二〇〇万元、地方への移転支出三六二億八四〇〇万元。資源探査・電力・情報などのインフラ整備の強化に四二九億七五〇〇万元を支出した。戦略的新興産業の技術研究開発と産業化モデル事業を支援し、重点産業の革新や発展を図るプロジェクトを実施し、先進的生産設備の研究開発に補助金を交付するため、三五億元を充てた。中小企業の成長を促進するため、一〇二億九六〇〇万元を振り当てた。
食糧・食用油等の物資備蓄関係支出は八九〇億六二〇〇万元で、予算の七八・八%を達成し、二・四%減となった。予算との間に差額が生じたのは主として、実績値に基づいて決済した結果、食糧備蓄の利息などへの補助金が見込み額を下回ったからである。内訳は、中央レベルの支出五四〇億八〇〇万元、地方への移転支出三五〇億五四〇〇万元。穀物主産地の食糧リスク基金地方分担金を全額廃止するとともに、食糧リスク基金の不足分を補填し、食糧生産直接補助政策を実施するため、三二〇億三三〇〇万元を振り当てた。小麦や籾米の最低買付価格を着実に引き上げたり、菜種や大豆などの臨時買付・備蓄政策を実施したり、石油や非鉄金属などの重要物資の備蓄を増やすため、四五〇億二三〇〇万元を支出した。
国防支出は五八三五億九七〇〇万元で、予算の一〇〇%を達成し、一二・六%伸びた。内訳は、中央レベルの支出五八二九億六二〇〇万元、地方への移転支出六億三五〇〇万元。この支出により、将兵の生活・待遇の改善や、軍隊の情報化の強化、装備や関連施設の更新、災害時の救助活動などに対する軍隊の緊急対応能力の強化をバックアップした。
公共安全保障支出は一六九五億四七〇〇万元で、予算の一〇四・八%を達成し、一四・九%伸びた。内訳は、中央レベルの支出一〇三七億一〇〇万元、地方への移転支出六五八億四六〇〇万元。この支出により、公安・検察・司法経費保障体制の改革を推し進めて、末端の公安・検察・司法機関のサービス能力を向上させた。
ここで説明が必要なのは、実績値に基づいて決済した結果、食糧・食用油等の物資備蓄関連支出が見込み額を下回り、二〇一一年度中央歳出に二五四億元の余剰が出たため、それを中央予算安定化基金へ繰り入れたことである。
⑶ 中央から地方への租税還付と移転支出の執行状況
中央から地方への租税還付と移転支出は三兆九八九九億九六〇〇万元で、予算の一〇六・九%を達成し、二三・四%伸びた。内訳は、租税還付が一・七%増の五〇七八億三八〇〇万元、一般的移転支出が三八・三%増の一兆八二九九億九三〇〇万元、特別移転支出が一七・一%増の一兆六五二一億六五〇〇万元。一般的移転支出のうち、地方財政力均衡化のための移転支出は七四八六億八一〇〇万元、義務教育への移転支出は一〇六五億一〇〇万元、基本養老年金と最低生活保障補助金などへの移転支出は二七五〇億九八〇〇万元、新しいタイプの農村合作医療などへの移転支出は七七九億八一〇〇万元、村レベル公益事業の奨励・補助などへの移転支出は一八四億七一〇〇万元、資源枯渇型都市への移転支出は一三五億元、精製油の税・費用改革のための移転支出は五八一億元であった。
2 地方財政予算の主要収支項目の執行状況
主要収入項目。国内付加価値税収入は一五・三%増の五九八九億二五〇〇万元、営業税収入は二二・七%増の一兆三五〇四億五〇〇万元、企業所得税収入は三三・五%増の六七三八億五四〇〇万元、個人所得税収入は二五・二%増の二四二一億三〇〇万元、都市整備税収入は五〇・二%増の二六〇八億九〇〇万元、契税(不動産取引税)収入は一二・一%増の二七六三億六一〇〇万元、税外収入は四三・四%増の一兆一三四二億七五〇〇万元。
主要支出項目。教育支出は二七・八%増の一兆五一一七億六〇〇万元、科学技術支出は一七・三%増の一八六四億二三〇〇万元、文化・スポーツおよびメディア関係の支出は二二・二%増の一七〇一億五八〇〇万元、医療衛生支出は三三・一%増の六二九六億一七〇〇万元、社会保障と雇用対策関連の支出は二二・六%増の一兆六四一億四一〇〇万元、住宅保障支出は七五・五%増の三四九三億六七〇〇万元、農業・林業・水利関係の支出は二二・四%増の九四七三億四九〇〇万元、都市・農村のコミュニティー関係の支出は二七・八%増の七六四一億一〇〇万元、交通運輸支出は七八・六%増の七一四一億二六〇〇万元。以上の各項目の支出には、中央からの租税還付と移転支出による資金を用いたものが含まれている。
以上の各項目の支出を集計すると、二〇一一年度に全国の財政が人々の生活に直結する教育、医療衛生、社会保障・雇用、住宅保障、文化方面に充てた民生支出は計三兆八一〇八億元で、三〇・三%伸びた。農業・水利、公共交通運輸、省エネ・環境保護、都市・農村のコミュニティー関係など、民生に密接に関連する支出は合計で三兆五六二九億元となった。全国の財政の「三農」(農業・農村・農民)向け支出は計二兆九三四二億元で、二一・二%伸びた。その内訳は、農業生産支援の支出が一兆三九三億元、農民向けの食糧生産直接補助金、農業生産財総合補助金、優良種子補助金、農業機械購入補助金の支出が一四三九億元、農村の教育や医療衛生など社会的事業の発展促進の支出が一兆六二四〇億元、農産物備蓄費用・利払などの支出が一二七〇億元であった。ただし、説明が必要なのは、民生と「三農」の支出は本来は独立した予算科目ではないが、審議の便宜上、ここでは民生と「三農」に関連する支出項目をまとめて報告しているため、重複部分があることである。
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