王漢平・王浩=文
壮麗な自然と無数の文化遺産
中国の西南部、雲貴(雲南・貴州)高原の東部を占める貴州省は、高山、峡谷、瀑布、鍾乳洞、森林が全省を覆い、そのどれもが壮麗で、美しい自然が織り成す風光は巨大な景観公園にもたとえられ、「自然公園の省」の美名でたたえられている。
ここにはまた世々代々暮らしを営んできた数十の民族が住み、奇跡と言われるほどに良く保存されてきたそれぞれの伝統習俗や民族文化と無数の文化遺産が原形のままに残されている。貴州省は「自然公園の省」であるだけでなく、巨大な人文博物館でもあり、「文化博覧会場」にたとえられるほどだ。
自然との調和の取れた共存
「自然公園」の見事な景観と「文化博覧会場」の貴重な文物が融け合い、自然と人文が一体となって作り出す特異な「豊富多彩さ」が、他では得られない貴州の魅力なのだ。
私たちはこれまであまりにも多くの関心を都市に注いできた。いま、貴州の大自然に目を向ける時、驚きとともに多くのことを再発見する。この地の多彩な原生態文化が保存してきた東アジアの文化こそが人類共通の歴史記憶なのではないだろうか。ここに残る人文生態と自然生態の密接不可分なあり方こそが人と自然との調和の取れた共存なのではないだろうか、と。
豊かな自然に抱かれた貴州省は、ユネスコが指定する「本来の姿に返り、自然に回帰する」ための世界十大エコツアー地区にも選定されている。
日本人にはお分かりだろうが、「貴州」の「貴」の字には、「高貴」「珍貴」「「尊貴」といった意味が含まれる。「貴」の字を分解すると、上から「中」「一」「貝」になるが、それは、文字通り「中国の一つの宝の州」を意味する。古代、中国では「貝」は宝物であり、貨幣として通用された。今日でも中国語の「宝貝」は「宝物」の意味で用いられている。
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