壩陵河大橋

山々に囲まれた貴州省は歴史的に交通が不便なことで知られていた。貴州省龍場駅（現在の貴陽市修文県）に左遷されながらも陽明学を誕生させた明朝の大思想家・王陽明も「山々が連なる天嶮は鳥でさえも通ることはできない」と嘆いている。険しい道は馬も通れず、人が担いで物資を輸送するしかなかった。

しかし、この10数年来の西部大開発戦略の実施により、貴州省の交通を中心としたインフラは大きな発展を遂げている。道路、鉄道、航空を主軸とする近代的立体交通ネットワークがほぼ整備された。

山々の間に道路が開かれ、川には橋が架けられた。この5年間で貴州省山間部には多くの道路、鉄道が整備されている。今や貴州省は橋の世界記録を次々と塗り替えている。

2005年、貴州省は各県を結ぶ舗装道路、各郷を結ぶ道路の整備を実現した。また他省に通じる高速道路や大型幹線道路が整備され、省内の主要都市と主要観光地を結んだ。周囲の省・自治区・直轄市のすべてと高速道路で接続される日も近い。2010年末にはアモイ・成都間高速道路が完成し、1日以内で貴陽市から広州市までの車での移動が可能になった。

航空インフラでは、国際空港へと昇格した貴陽空港から中国各地に飛ぶ便は40路線にも及ぶ。北に2時間半のフライトで北京市へ、南に70分のフライトで広州市に着く。また銅仁市、安順市、黎平県、茘波県にはそれぞれコミューター空港があり、観光地と外地の距離を大きく短縮した。

鉄道は湘黔、川黔、貴昆、黔桂、南昆の5路線が、湖南省、四川省、雲南省、広西チワン族自治区及び重慶市と結んでいる。また新たな「三縦三横計画」（南北の路線3本、東西の路線3本を整備する計画）も建設が進められている。2008年には貴州・広州間快速鉄道が着工した。また広州市から桂林市、貴陽市、昆明市を経由する鉄道路線が完成すれば、貴州省から珠江デルタを抜けてつながることで、ASEAN諸国とも有機的に融合することになる。

また水路では、赤水河と烏江が長江とつながったほか、南北の盤江と珠江の連絡も実現している。

貴州省各都市及び観光地におけるホテルなどサービス業の水準は大きく向上しており、ハード・ソフトともに旅行客に素晴らしいサービスを提供できるようになった。

省都・貴陽市を中心に東西南北に延びた旅行鉄道はすでに相当な規模に達しており、ほぼ整備は完了している。観光、レジャーだけではなく、農村探訪や文化や自然を味わう旅、中国共産党ゆかりの革命史跡をめぐる旅など、旅行者のさまざまなニーズに応えた多元的な旅行を提供する体制が整っている。