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貴州の民間飲酒習俗

 

貴州の少数民族には米酒を飲む習慣がある。この米酒は米から醸造されたもので、アルコール度数は高くはないが、飲みすぎたり一気飲みしたりすると、すぐに酔いが回り、倒れてしまったりする。そのため、この酒を地元では「ぶっ倒れ酒」などと呼んだりする。

外来の客を迎え、道で待ちかまえて米酒をふるまうミャオ族。客はこの酒を飲み干さないと村に入れない(高氷)

ミャオ族には「女酒」というものがある。ミャオ族は女児が生まれると酒をかもし、旧暦の12月まで壷に寝かせままにし、密封して貯水池の底深く沈めて貯蔵しておく。嫁いだ娘が実家に帰省する際に初めてその酒壷が開けられ、客人たちに振舞われるのである。

祝い事があると「ぶっ倒れ酒」を飲むが、たとえば子どもができなかったり、あるいは子どもが病気になるなどの災厄があった場合などにもミャオ族は「ぶっ倒れ酒」を飲む。山に登り2本の竹を地下茎ごと掘り出してきて家の庭に植え、両親がいて子どもがいる「福のある」12名の客を招いて良い酒と肉でもてなし、その後に植えた竹の根元に一壷の「栽花竹酒」を埋めて福が来るように祈るのである。

プイ族も女の子が生まれると酒をつくる。「娘娘酒」といい、嫁ぐ際に酒の壷が開けられる。

プイ族は結婚話の際に「討八字酒」を飲む。若い男女がともに歌を歌い心を通わせ合う歌会がたけなわになると、男性は仲人に頼んで好きな女性の「八字」を聞きだしてもらう。生まれた年月日時の干支の八文字である。これにより相性などを判断することを「討八字」という。女性のほうは部屋の中央に大きな八つの碗に注いだ「ぶっ倒れ酒」を並べ、「八字」を書いた紙を碗の一つの下に隠すが、仲人はその碗を知っていて、男性に渡し、男性はその碗を飲みほす。

貴州南部の山里では客人を迎える際、「攔路酒」というやり方であいさつしあう習俗があるが、ミャオ族、トン族、プイ族、シュイ族はみなこれを行う。酒を飲み歌を歌い、また飲み、また歌い、それをひたすら続ける。ミャオ族の「攔路酒」には3~5ひいては12種類ものやり方があり、「牛角酒」とも呼ばれる。主側が水牛の角でつくった杯を客人の口元に近づけ、客は手を下げて一口飲むが、もし手が牛の角に触れた場合は牛角酒を全部飲み干さなければならない。

黔東南のミャオ族は自分が客となる際は「敬客酒」を飲まなければならない。テーブルにつくと、まず主側の男性が各人に2杯の酒を勧める。家の女たちが「敬酒歌」を歌い始めると、各人は2回、1回につき3杯を飲み干さなければならない。「ぶっ倒れ」たくても倒れられない状態になってしまう。

黔西南のプイ族は自分が客となる際は「鶏頭酒」を飲まなければならない。鶏頭酒は「鳳凰頭酒」とも呼ばれ、客人は主の手から酒を受けまず1杯飲み、次に「鳳凰頭酒」を次の人に注ぎ、全員が共に乾杯する。その後はそれぞれお互い自由に乾杯する。

黔南のシュイ族は客をもてなす際、まず「滴酒祭祖」を行う。上座の徳の高い者が箸を使って1滴の酒を卓上にたらし、主が両手で碗を持ち乾杯し、客人は杯を受け、同様に酒をたらし祖先を祀る。最後の1滴の酒が落ち、「飲もう」という声を聞いてから全員が乾杯の歓声を上げる。

「転転酒」もまた「ぶっ倒れ酒」のひとつである。卓上の杯を各人が一口飲み、順番に回していき、親密さを示す。ただ、一軒の家に客が来ると集落全部の親類一同が歓迎の意を表して酒を飲ませるので、最終的には目がぐるぐる回って、「ぶっ倒れる」ことになる。

「転転酒」には「交杯酒」というものがある。これは3つの種類に分けられ、1つはそれぞれが1杯の酒を持ち、相手の口元に杯を運んで同時に飲み干す。もう1つはお互いが腕を交差させ、自分の口の前にかざされた杯の酒を同時に飲み干す。そしてもう1つは客人が輪になってそれぞれ杯を持ち、みなが同じ方向に向かって隣の人に乾杯し、そしていっせいに飲み干すというもの。

黔東南のミャオ族の「送客酒」にも触れておかなければならない。主は手に杯を持って歩き、三歩で1曲歌い、5歩で酒を1口飲み、銅鼓台の上に登るまで歌い続けると、銅鼓が叩かれ蘆笙が吹かれ、村人総出で客人を見送る。村長がテーブルと酒を用意させ、席ができるとみな次から次へと前へ出て、花束を贈ったり、歌を歌ったり、乾杯は引きも切らず、それらが延々と続いた後でやっと客は村の外に出ることができるのである。

 

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