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ミャオ族が体にまとう民族の歴史

 

貴州の少数民族のほとんどすべての女性は芸術家である。彼女たちは器用なその手で、色彩豊かで、精巧で美しい多様な民族衣装を作り上げ、彼女たちの独特な美意識を伝える。

服飾は華麗な手工芸品

貴州に長く定住してきた17の民族のうち、最も豊かな服飾文化を持つのはミャオ族である。ミャオ族は世界でも服飾が最も多様な民族として知られる。

険しい山々に隔てられているため、貴州に住むミャオ族は130以上の支系に分けられるが、どの系統も服飾にそれぞれの特徴を持つ。精緻で華麗な施洞ミャオから、プリミティブでワイルドな南丹ミャオまで、造形はそれぞれ異なる。彼らの服装には刺繍、ろうけつ染め、クロスステッチ、錦織などの手工芸技術がふんだんに使われている。襟とそで口、スカートのすそなどには通常、各種の刺繍による装飾が加えられる。

革家のろうけつ染め。革家はミャオ族の一支系

ミャオ族の服装デザインは多様で、対襟(前ボタン式で襟が前で合わさる)、交襟(前で襟を重ね合わせる)、大襟(重ね合わせた襟を右側に並んだ布ボタンでとめる)などのほか、貴州南部には古典的な貫首衣もある。これは、自分で染めた青い手織りの木綿布の中間に丸い穴を開け、着るときはそれをかぶるものだ。前が短く後ろが長く、そでと襟がなく、縫い目のない服である。これらの民族衣装は様式が同じであっても、女性たちは細かな調整と装飾で、自分の個性を演出している。

ミャオ族にとって、服飾上の図案は特殊な意味を持っている。歴史上、ミャオ族は絶えず南に移住してきた民族である。一部はその旅の途中で定住し、現在は約半数が貴州に暮らしている。ミャオ族は文字を持たなかったため、そうした自分たちの歴史を記録し伝承する方法として、口頭で伝承される古歌と服飾を発達させてきたのである。

省東北部のミャオ族の女性は襟のない「蘭娟衣」を持つが、これには黄色や青などのラインが刺繍されている。伝説によれば、黄色のラインは黄河を、青のラインは長江を表し、彼らミャオ族が黄河、長江を渡ってここに来たことを語っているのだという。また、「九曲江河紋」「田連阡陌紋」「城池紋」などの服飾模様は、ミャオ族が古代に黄河中流域の中原で暮らしていた歴史を物語っている。さらに、省東南部台江県施洞地区のミャオ族の服装には、清代のミャオ族蜂起時の女性英雄を描いた模様もある。

ミャオ族の服飾の図案は、宗族識別の働きもある。ミャオ族の女性は、彼らの祖先特有の図案やマークを衣服に刺繍し、神の加護と幸運を願う。例えば、彼らが祝日に着用する礼服には楓(フウ)や鳥の模様が刺繍され、衣服の上に着るチョッキには銅鼓の模様と四隅に蝶の模様が刺繍されている。ここには先祖への崇拝と健やかな生活へのあこがれが表れている。

銀づくしの精巧な装身具

銀の装飾は、ミャオ族の服飾文化の重要な組成部分であり、クロスステッチ、刺繍、ろうけつ染めとともに、ミャオ族の四大伝統工芸とされている
ミャオ族はおしゃれ好きだ。衣服だけでなく、銀の装身具にも独特の美の一面が見られ、それは民族の重要な符号でもある。ミャオ族の銀の装身具には頭飾り、耳飾り、首飾り、胸飾り、指輪やブレスレットからペンダントなどまで、およそ飾らないところはないほどだ。さらに、頭部には大きくて精美な銀冠を、また肩や背にも銀製の飾りを付ける。ミャオ族の銀の装身具は作りが精巧で、色鮮やかな服装によく合い素晴らしく美しい。

「項圏」と呼ばれる首飾りは、結婚式の時に花嫁が身に付ける大事なアクセサリーで、大小7つの輪からなり、その重さは2キロにもなる。造形は四隅に突起があるもの、渦巻状のもの、楕円形のものなどさまざまで、表面には各種の花柄が彫刻されている。銀の装身具は美の象徴であり、また豊かさと高貴な身分をも象徴している。髪に挿す銀の櫛はふつう長さが16センチほどで、表面には三羽の鳥などの図案が彫刻されている。また、この櫛にはさまざまな形の飾りが吊り下げられていて、動くたびに触れ合って涼やかな音を奏でる。多くのミャオ族の家庭では、すべての貯蓄を費やしてでも娘のために銀の飾りをあつらえる。一つの家庭に少なくとも一そろいは銀の装身具があり、祭日や結婚など重要な日には、ミャオ族はみな盛装をして銀の飾りを身につける。合計すると10キロ以上もの飾りを身につける地方もあるほどだ。

 

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