中国と私
私が中国ビジネスに携わるようになったのは、1993年に米国大手投資銀行で働いていたときです。日本の大手ビールメーカーの中国のビール工場の持分買収のプロジェクトにアドバイザリーとして参画しました。
その後、1995年にヤオハンに入社し、当時上海市浦東新区に建設中だった中国一大きな百貨店「八伴佰」をはじめとし、無錫市での大型百貨店、スーパーマーケットチェーン、モスバーガーチェーン、ボーリング場プロジェクト、日本レストランプロジェクトなどに財務、企画部門の責任者として参画することになりました。これらの施設は、次々とオープンしていきました。残念ながら、ヤオハンジャパンは倒産し、多くのプロジェクトは経営が中国のパートナーに移りましたが、大成功したプロジェクトも数多くあります。現在成功している百貨店を時々見にいきますが、大変うれしくなります。
忘れられない思い出
私は1998年から準備に入り、1999年に上海で起業しました。今振り返ると私が起業したのは、ヤオハンの和田一夫代表をはじめとする経営者の方の「ヤオハンスピリット」(開拓魂)に影響を受けたからだと思います。和田代表とはその後も深くお付き合いをさせていただき、すでに知り合って17年になりました。
かつて和田代表とご一緒に北京中央政府や上海市政府のいろいろな要人とお会いさせていただいたことが今も大切な思い出となっております。中央政府の大臣クラスの要人からの言葉が今でも忘れられません。「貴方は中国の恩人であり、中国流通産業の発展、浦東新区の発展に貢献していただきました。私も貴方も引退に近い年齢になってきましたが、お金よりも大切な友情という一生の大切な絆を育むことができました」
中国に対する思い
私は中国の発展を17年間にわたり現場で見てきました。その経験から、困難なことも多々ありますが、中国はさらに発展していくと思っています。それだけの英知と胆力をもった国であり、国民であると思います。
私は、中国の主要都市で事業展開している日系企業や日系マーケットでビジネスをされている人々をフリーペーパーの発行を通じ応援させていただいております。また、日中の文化交流のための様々なイベントを企画・運営したり、事務局として参画したりすることにより、日中両国の民間交流がさらに深くなるよう、微力ながらお手伝いさせていただいております。フリーペーパーについては、Wheneverシリーズ, Biz presso、Biz CHINA、RAKURAKUなどの媒体など、多くの中国で活躍する皆様にご愛読していただいているのではと思います。
希望
近い国同士の関係は、世界各国を見渡してもなかなか難しいのが常識です。日中関係も平坦ではないと思いますが、智恵をしぼり、お互いに信頼し合えるような関係を築く努力をたゆまずしていくことが大切と思います。国の枠組みのレベルだけでなく、民間の草の根の交流を継続していくことが、日中の国民にとってとても大切です。私は今後もさまざまな形で草の根の交流を推進していきたいと考えております。
(弊社関連サイト:www.shwalker.com、www.bizpresso.net、www.rakurakupress.com)
安永博信(やすなが・ひろのぶ)
1959年生まれ。東京大学教養学科卒業、米国コロンビア大学MBA課程修了。運輸会社、米国投資会社、ヤオハン中国での勤務を経て、99年、上海でメディア漫歩を設立。中国でメディア事業を幅広く展開し、日本人コミュニティー、中国政府・経済会に豊富なネットワークを持つ。
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