中国に「四十にして惑わず」という古言があり、40歳は知性が成熟する年齢だという意味だ。今年、中日国交正常化から40年目に入り、われわれは「不惑の年」を迎える中日関係をどのように評価するか、また中日両国の交流によって獲得した成果、直面している諸問題をどのように見るか?将来への展望は?中日関係の発展において重要な役割を果たしてきた経済貿易関係、文化交流と人的往来には、当面の新たな情勢下で、どのような新たな変化があったのか?全世界とアジアにおける戦略的な構造の中で、中日双方はどのような役割を演じているのか?  
 2012年2月29日、中日友好21世紀委員会の中国側首席委員唐家璇、葉小文、周明偉、魏家福、薛偉の5委員が、国交正常化40年をテーマに北京で座談会を開いた。討論を通じて、中日関係40年来の歩みを多角的、客観的に分析し、理性的に判断し、各委員は非常に含蓄に富み、斬新な見解を披瀝した。  
 『人民中国』社の徐耀庭社長ら編集委員は座談会を単独取材し、その内容をテーマ別に再構成した。

 
   
唐家璇
生年月日 1938年1月生まれ
出生地  上海市
【現職】
中日友好21世紀委員会中国側首席委員
中日友好協会会長
中国人民外交学会高級顧問
中国翻訳協会名誉会長
中米文化基金会名誉顧問
中国国際経済交流センター顧問
清華大学現代国際関係研究院名誉院長
 
【略 歴】
1955年 上海復旦大学外国語学部で英語を専攻   1985年 外交部アジア司(局)副司(局)長
       北京大学東方言語文学部で日本語を専攻   1988年 駐日大使館公使参事官、公使
1964年 外交部(外務省)の通訳班に勤務   1991年 外交部部長補佐、副部長(副大臣)
1970年 中国人民対外友好協会副処(課)長、   1998年3月 外交部長(大臣)
       中日友好協会理事   2003年3月~2008年3月 国務委員
1978年 駐日大使館二等書記官、一等書記官       第15、16期中国共産党中央委員会委員
 
葉小文
中央社会主義学院副院長
魏家福
中国遠洋運輸(グループ) 総公司総裁
 
周明偉
中国外文出版発行事業局局長
薛偉
中央音楽学院教授
 
 
 
中日友好21世紀委員会の委員に独占インタビュー
 中日国交正常化40周年にあたり、2012年2月29日、中日友好21世紀委員会の中国側座長の唐家璇氏と、葉小文、周明偉、魏家福、薛偉の委員各氏が、北京中南海で『人民中国』の独占インタビューに応じた…
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40年の成果、経験、教訓
 周明偉外文局長 今年は中日国交正常化40周年に当たります。それではこれから中日友好21世紀委員会中国側の唐家璇首席委員、葉小文委員、魏家福委員、薛偉委員と私の5委員で、中日国交正常化40周年に際して、中日関係の昨日、今日、明日について、座談会を開催させていただきます。
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「井戸を掘った人」忘れずに
 周明偉外文局長 唐首席委員にお尋ねしますが、中日国交正常化40年来の体験者として、一番印象深かったことは何でしょうか。
 唐家璇委員 半世紀近く従事してきた外事、外交活動で、私が政府を代表する身分であろうと、民間の身分であろうと、対日活動はずっとその中を貫いています。ある友人は、私と日本は解けない縁で結ばれていると言います。
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互恵互利が尽きぬ原動力
 周明偉外文局長 魏委員のおられる中国遠洋運輸グループは中日間の経済、貿易往来に比較的早く加わった企業の1つで、中日の経済、貿易関係の発展を直に目撃してきただけにとどまらず、中日の経済、貿易関係に大きな貢献をされてきました。ご自身の経験から、中日の経済、貿易関係の発展について、どのように理解しておられますか。
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文化交流を通じて親近感
 周明偉外文局長 現在、中日経済は相互依存、相互補完の関係にあります。中日両国の文化交流にも特色があります。両国の長い歴史、伝統を持つ文化で互いに師事し、互いに敬慕し、価値観にも多くの共通点があります。それによって、文化交流も中日関係を推進する原動力の一部になっています。長い間、中日間の仏教交流に尽力されてきた葉委員はこの分野についてお考えがおありだと思いますが。
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冷静に対応し慎重に処理
 周明偉外文局長 中日国交正常化から40年、中日関係の発展の主流は各方から肯定的に受け止められています。一部のメディアや民衆は中国に対してさまざまな懸念や憂慮、不信を抱いていますが、唐首席委員はこうした問題をどう見ておられるでしょうか。しかし、この40年来、両国関係の発展の途中でも、ずっと、迷惑な事柄、調和を乱す事柄、人々を憂慮させる事柄が付きまとってきました。
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手を携えアジアの繁栄を
 周明偉外文局長 中日両国は同じ東アジアに位置し、政治的、経済的にアジアで重要な国家です。共同でアジアの安定、繁栄に力を尽くすために、両国にはどのような地域協力のコンテンツがあるでしょうか?また、これらは未来の中日関係の発展にとって、どのような意義を持つのでしょうか?
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長期、健全、安定目指して
 周明偉外文局長 40周年の機会をとらえて、如何にして両国の友好関係の基礎をさらに深化させ、如何にして両国の国民感情を増進し、如何にして戦略的互恵関係を発展させるべきか、ご在席の各位にお話し願いたいと思います。
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中日間の4つの政治文書
 中日両国が国交正常化を実現して40年来、両国政府は相前後して「中華人民共和国政府と日本国政府の共同声明」「中華人民共和国と日本国との間の平和友好条約」「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する中日共同宣言」「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する中日共同声明」といった4つの重要な政治文書を締結、発表した。
  上述の4つの政治文書は中日国交正常化の実現基礎であり、中日関係の進歩を推進させる行動指針でもあり、または各時期における中日関係の発展の歴史的証拠でもある。
「中華人民共和国政府
と日本国政府の共同声明」
 1972年9月29日、中華人民共和国国務院総理周恩来と日本国内閣総理大臣田中角栄は北京で「中華人民共和国政府と日本国政府の共同声明」を締結、発表した。
 同声明により、中華人民共和国政府と日本国政府は1972年9月29日から外交関係を樹立することを決定した。中華人民共和国政府と日本国政府は主権および領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等および互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意した。
 同声明の発表は中日両国の国交正常化の始まりを意味した。
「中華人民共和国と日本国との間の平和友好条約」
 1978年8月12日、中華人民共和国外交部長黄華と日本国外務大臣園田直は北京で「中華人民共和国と日本国との間の平和友好条約」に署名調印した。同年の10月、中国国務院副総理鄧小平は日本を訪問し、10月23日に「中日平和友好条約批准書」の交換式に出席した。
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「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する中日共同宣言」
 1998年11月25日から30日まで、江沢民中華人民共和国主席は日本国を公式訪問した。これも中国国家主席の初めての日本訪問だ。11月26日、中日両国政府は「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する中日共同宣言」を発表した。
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「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する中日共同声明」
 2008年5月7日、日本を訪問した胡錦濤中華人民共和国主席は東京で、福田康夫日本国内閣総理大臣と一緒に、中日両国政府をそれぞれ代表し、「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する中日共同声明」を発表した。
 声明の中で以下のことを表明した。双方は、以前発表した3つの文書の諸原則の基礎の上に、戦略的互恵関係を包括的に推進し、中日両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展を実現することを目標とし、更に政治的相互信頼を増進し、人的、文化的交流を促進し、国民の友好感情を増進し、互恵協力を強化し、共にアジア太平洋地域の発展への貢献を行っていき、共同で重大な国際問題や気候変動、エネルギー安全保障、環境保護、貧困や感染症などのグローバルな問題に対応する。
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