2013年の両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)が開幕した。アナリストは「中国共産党第18回党大会で掲げられた改革方針や政策が両会で具体的に反映されることで、政策が実行に移されるのは予想よりも早いものとなるだろう。今後の展望に関して、資本市場が基盤とする経済のファンダメンタルズが積極的な変化を続けているため、資本市場は重要な役割を果たすと見られる。改革の恩恵によって生み出される多くの投資チャンスが絶えず市場に出てくるだろう」との見方を示している。4日付中国証券報が伝えた。
2012年12月初旬、上海総合指数は1949ポイントから反発、500ポイントに上る回復を果たし、勢いのある回復が多くの人の予想を上回った。市場環境には今、大きな変化が起きている。第18回党大会以来、資本市場の関心事は改革政策への期待と密接な関係を持つようになった。環境保護、大部門体制への制度改革、航空産業、金融改革、農業の産業化経営など、関連するセクターの銘柄は次々と驚くべき記録をたたき出している。「新鮮なテーマ株に対し、また投機的な売買が行われているだけで、これまでと変わらない」との見方もある。また、「環境保護セクターの大気汚染物質の処理・対策の関連会社の株価収益率(PER)は50倍以上に達し、今後更に上昇する余地は限られている」と指摘する意見もあるもの、一部のセクターは既に従来の分析枠組みでは推し量れないことが分かる。改革によって絶えず還元される政策の恩恵は、株価の上昇を夢物語や関連株の投機的な売買から、より多くの人が一様に認める業績予想によるものへと変えていった。
この変化を見逃さなかったのは中国国内の投資家だけではない。利益をかぎ分ける鋭い嗅覚を持った海外の投資家も殺到した。米投資ファンド、ブラック・ストーン(黒石集団)のシニアアドバイザーであるバイロン・ウイーン氏は「中国の改革推進の動きと成果は2013年の世界投資市場における最も驚くべき出来事トップ10に入るかもしれない。実はこれが情報を聞きつけた海外資金が中国市場に流入し、適格外国機関投資家(QFII)投資枠が大幅に拡大している要因でもある」との見方を示している。
今後の投資理論については、市場の動きから既に明らかなように、中国の経済発展の長期的な方向性と潜在的な原動力を積極的に開発し、改革の恩恵を還元できるルートを模索する必要がある。中国経済の改革と発展の方向性、中国の人々の生活の質向上に対する要求こそ、今後の市場の投資チャンスとなる。
まず、改革・開放は市場の資源の再分配を軸とした投資チャンスをもたらす。改革は停滞せず、開放はとまることはない。たとえば、2013年の両会では国務院の機構改革と職能転換方案に関する審議・討論が行われることなどが挙げられる。
大部門体制への改革の本質は、政府の市場に対する干渉を減らすことで、市場の資源配分を合理化し、産業の整理統合を強化することである。そのため、改革に関連する各業種が事業の効率向上・拡大強化のチャンスを迎えることが見込まれている。改革の機運が盛り上がっている産業セクターでは既に好調な結果が出始めている。
開放の加速は市場に期待をもたらす。現在、世界の投資の7―8割がクロスボーダーM&Aであり、中国各業種・各企業の対外への開放度は全体的にやや低い。中国の金融分野の開放によって、資本市場に大規模な海外資金と各種の投資家が流入するだけでなく、国際的な一流レベルの銀行、証券会社、保険などの金融機関の開発が促進されることで、競争力と収益力の向上を推進することができる。その他の産業の対外への開放も同様に、資産の再編成と業績向上のチャンスをもたらす。
次に一連の具体的な改革政策が実施される日程が明らかになることで、改革は強い姿勢で、既得利益に対する揺るがない決意に働きかけることができ、市場各方面の意欲と自信を高めることに繋がる。例えば、所得分配の改革に関する全体方案が発表されれば、より多くの具体的な政策が後に続く。所得の向上は消費成長を保証する最も有力な決め手である。また、一次産品の価格改革推進に伴い、関連業種・企業には大きな利益を得られるチャンスが訪れる。他にも、土地収用制度の改革、医薬衛生体制の改革、民間投資を支援する細則、営業税から増値税(付加価値税)課税への切り替えの試行範囲拡大などの一連の改革政策が両会後に実行に移される。どの改革も新たな投資チャンスを秘めている。
そして、衣食住や外出・交通手段について、全面的に国民の生活水準と質を向上させることで、新しい投資チャンスが生まれ、また新たな投資リスクも潜んでいる。映画『泰囧』の大ヒットにより、同映画のプロモーターである中国の大手映画会社・光線影業(Enlight Media Group)の株価は倍になった。一方、基準値を超える可塑剤が検出されたことで、白酒業種の株価は大暴落し、単日で300億元の時価が蒸発した。経済発展は国民生活に寄り添うものであるべきで、資本市場もまた、その土台から離れてはいけない。今後、グリーン農業、環境保護、食の安全、電子決済、旅行、飲食など、市場の注目銘柄もリスクも、ますます人々の生活と密接な関わりを持つようになってきた。また、新しい生活スタイルと消費市場で注目される商品からも投資チャンスは生まれる。
最後に最も重要なのは、「ローマは一日にして成らず」との諺があるように、経済発展と改革の恩恵を実際に現金として得るために、投資家は短期的な視点からの投機的な売買を避け、より一層堅実な意志を持ち、盲目的な投資を控えるべきである。
「中国証券報」より 2013年3月4日
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