欧米諸国が財政赤字削減に取り組む2013年、中国は財政赤字の適度な増加を決定した。
温家宝総理は5日の政府活動報告の中で、中国の今年の財政赤字は1兆2000億元を予定しており、昨年の予算より4000億元増加することを発表した。この規模は、中華人民共和国建国後、最大の赤字額となる。
中国は同時に、国債の規模を適度に拡大する。赤字拡大、減税・歳出増は、財政の積極性を示すものだ。中国は過去数年間、世界金融危機の対応、経済成長の確保に成功している。
政府の活動報告によると、1億2000万元の財政赤字の内訳は、中央財政赤字が8500億元、地方財政赤字が3500億元だ。後者は、中央政府が地方政府の予算を賄う債券を発行する。
中国財政部報道官の戴柏華氏は、「構造的減税の効果が今年にずれ込むことから、今年の財政収入の増加率が高くなりすぎることはない。しかし財政、特に国民生活の保障・改善に充てられる支出は増加し、経済成長及び構造調整の支援を維持する。財政赤字を適度に増やす必要があり、中央・地方政府の財政も債券発行規模を適度に拡大するべきだ」と指摘した。
全国政治協商会議委員、中国財政部財政科学研究所の賈康所長は、「国内外経済情勢の影響を受け、中国の今年の財政収入の増加率が低下する。また営業税から増値税への徴収変更などの構造的な減税を受け、税収への影響が拡大し、財政収支の不均衡がさらに表面化する」と述べた。
赤字増加を背景とし、今年の中国財政支出は13兆8000億元を上回り、前年比10%増となる見通しだ。
赤字財政が経済の発展にもたらす積極的な影響について、中国社会科学院財経戦略研究院の高培勇院長は、「財政支出の増加を維持し、政府の教育・医療・社会保障など国民生活に対する十分な資金を確保し、国民の福祉を改善することは、長期的に見ると内需拡大を促し、中国経済に持続的な原動力を注ぎ込む」と分析した。
中国財政部の統計データによると、2008−2012年の中国中央公共財政の国民生活支出は16兆8900億元(年間平均増加率は21.1%)に達し、中央公共財政支出に占める比率が3分の2以上をキープした。
赤字財政はまた、より幅広い減税のスペースを確保する。中国は今年、営業税から増値税への徴収変更の試行を拡大する。同改革は昨年1年間の試行で、企業の400億元以上の減税を実現し、サービス業の発展を加速した。
また今年はより多くの財政資金を、先進技術の研究、企業の技術イノベーション、省エネ・排出削減などの分野に投じ、経済構造の調整を加速し、経済を持続可能な発展の軌道にのせる。
温総理は、「中国の現在の債務負担率は比較的低く、今年の赤字増加による赤字率はまだ約2%にとどまっており、全体的に見て安全水準となる」と述べている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年3月5日
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