両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)の開催期間、全国人民代表大会代表、中国科学院院士の鐘南山氏は記者の取材に応じた際、「頻発する濃霧による健康被害」、「濃霧による危害の防止はどこから着手するべきか」、「自己防衛はどのようにするべきか」について詳細な説明を行い、濃霧に勝つ自信があると述べた。
鐘院士は、「PM2.5とは2.5μm以下の極小微粒子を指し、硫酸塩、硝酸塩、さらにはウイルスなどを運ぶことができる。化学物質・発がん物質・その他の物質・ウイルスなどを含むPM2.5は肺胞に入ると、深刻な感染を引き起こし、人体に大きな危害を与える」と語った。
鐘院士は両会の開催期間に、「GDPが第一なのか、それとも人の健康が第一なのか」と厳しく詰め寄った。鐘院士は、「私はPM2.5の研究に向け多くの資料を集めたが、心血管系に対して深刻な危害をもたらすことが分かった。私は当然ながら、健康が第一だと考えている。大気汚染・水・食品安全を含め、我々はこれらの健康・生存問題を重視するべきだ。一人の健康・生存が脅威にさらされている時、何が一番重要だろうか。GDPがやはり重要なのだろうか」と疑問を呈した。
「濃霧の中で生活する多くの人々にとって、最大限に自らを保護する方法は何か」という質問に対して、鐘院士は「5・6級の汚染といった深刻な大気汚染が発生した場合、マスクを着用し、室外運動を避けるべきだ。しかし外科のマスクはPM4までしかカットできず、PM2.5では役に立たない。もっとも、これらは消極的な方法に過ぎないが」と語った。
鐘院士は「この深刻な環境の現状をいかに改善するべきか」という問題について、「私は中国がやるすべてのことに対して、常に自信を持っている。私は1979年に英国で留学し、1981年に帰国したが、あの頃のロンドンには青空が広がっていた。よく知られている通り、ロンドンはかつて有名な濃霧の都市であったが、私は留学当時にそのような痕跡を目にすることはなかった。英国では1952年に有毒ガスが発生し、5日間で4000人余りが死亡し、大きな衝撃を与えた。これはスモッグであり、高濃度の二酸化硫黄を含んでいた。英国では1956年に大気浄化法が誕生した。彼らはさまざまな取り組みを行い、80年代以降には大気品質が大きく改善された。中国の場合は、これほど長い期間を必要としないだろう。中国が何かをやる場合、各部門が協力すれば、政府から企業に至るまで、そして国民から関連部門に至るまで、全員で共に努力できるからだ。広州アジア大会は2004年より真剣に大気汚染防止に取り組み、脱硫黄・硝酸化など、環境改善を着実に進めた。その結果、2010年には大きな改善が見られた。スモッグが最も頻発した年は2004年で、年間144日に達したが、その後は減少を続け、2010年には70数日のみになり、2011年と2012年は60−70日の間となった。これは環境改善の取り組みの効果を示すものだ。この経験によると、北京ならば10年間ではっきり目にできる、感じることのできる改善が実現できる。私は中国が英国の2−3倍の時間で、大気汚染を改善できると信じている」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年3月14日
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