率直な意思疎通が役割

元国務院新聞弁公室主任、中国人民大学新聞学院院長 趙啓正

2005年に「北京─東京フォーラム」が設立された時、私は中国側呼びかけ人の一人だった。10年来このフォーラムで、中日双方のエリートと共に中日両国の政界、経済界、民間友好やメディアなどの分野で率直な意思疎通を促進するよう努力を重ねてきた。皆さんの観点に相違が存在し、論争さえあるとしても、口に出すことができれば相手には分かるもので、こうした交流こそが有益なのだ。友人間で口論となった時、相手が何を考えているか分かれば、それが誤解や食い違いの解消に資するように。

同時に、双方のパネリストがそれぞれの国家においても民意の基礎に立っており、皆さんの交流の観点は往々にして国民の意見を体現し、時には政府の意図も反映している。このため、この種の対話は非常に価値があるのだ。

対話の後、幾つかの討議内容は両国民の理解を得ることが必要だということに皆気付く。また中日関係を決定する時に重要な参考となるよう、政府の決定レベルに伝えるべきものもある。これらについて、われわれは力を尽くして行っている。

これまでずっと中日関係に対して大幅な好転が得られていないことは遺憾だが、われわれは双方の国民の利益を重んじ、両国関係を重んじ、努力を続けており、いかなる困難にもくじけない。皆さんは、中日関係が本国の利益に関わるのみならず、双方の利益に関わり、ひいては東アジアの利益に関わり、世界の利益にさえ関わることを知っている。中国と日本は全世界に大きな影響を持つ国家であり、両国のGDPはそれぞれ世界第2位と第3位となっており、相互の貿易取引は双方に豊かな実益をもたらしている。中日が協力できる分野はますます広がっている。例えば環境保護、サービス、ハイテクなどの分野は、いずれもわれわれが両国の関連分野の友人たちの参与を推進するのを待っている。われわれは今後のフォーラムで政治的コンセンサス達成を勝ち取るという基礎の上に、双方の経済的利益獲得促進にいささかのグリーンゲートを提供できることを希望している。

「北京─東京フォーラム」は双方の根本的利益、長期的利益、発展の目標にかかわる一定程度の戦略性を有している。今後の10年で、われわれはフォーラムをさらに高い段階に引き上げなければならない。過去の率直で真摯な対話を保持していく以外に、毎回いくつかの重要な問題について新たな考え、実施可能な見解を提出する創造性が必要だ。

私は、今後のフォーラムでは「ダブルチャンネル交流」を増加させてみることを提案する。つまり、現在の対外開放交流のほか、双方が特定の代表を参加させ、対外公開報道をしない交流を行い、その交流結果を直接政策決定レベルに伝えるのだ。これはフォーラムの役割をよりよく発揮させるための模索だ。

中日文化はよく似ているが、大きな相違もある。双方は共に漢字を使うが、多くの漢字の解釈は異なっており、そのため正確に相手の言葉の真意を理解するなら、中日文化の相違を軽視することはできず、同時に相手方の伝統の尊重や十分な尊厳の留保も必要だ。

この過程では、われわれはメディアが中日関係の中で受け持つ重要な責任を非常に重視している。従来型のメディアであれ、ニューメディアであれ、その内容は皆ニュース性と評論性を有している。このため、中日両国メディアはいずれも文化的障害を乗り越える必要があり、翻訳と理解の誤りにより両国国民に誤解を生じさせないようにしなければならない。ニュースは毎日発生しており、情勢は毎日変化している。われわれは、中日のメディアが緊密な連絡関係を打ち立て、相互の意思疎通チャンネルを増加させることを奨励しており、彼らが中日交流の中で頼りがいのある懸け橋となることを希望している。

私は10年「北京─東京フォーラム」に関わり、10歳年を取った。精力は以前ほどではなくなったが、フォーラムに対する関心は依然として減じていない。私は、中日双方から多くの若い有識者がフォーラムに参加しているのを目にして、とてもうれしく思う。そして、彼らがより確固として中日関係の発展推進のためにさらに大きな貢献をすることを心より希望する。

 

 

 

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