中国外文局(中国国際出版集)と日本の言論NPOが共同で主催する第11回北京-東京フォーラムが24日、北京市で開幕した。日本国の福田康夫元首相が基調講演を発表した。
福田康夫氏の基調講演の主な内容は以下の通り。
昨年のフォーラムで、私はアジアの3つの姿についてお話しした。まずは力強く経済成長するアジア、第二に老いて行くアジア、第三にいがみ合うアジアだ。私はさらに、アジアが本当に老いて行く前までは、我々は、現在のアジアの経済成長と繁栄を着実に持続させて行く必要があり、日中両国はこのために緊密に協力しなければならないと述べた。それから1年が経ったが、我々の直面する現状はどのようなものとなったのか。力強く成長するアジアには陰りが見え始め、老いて行くアジアはますます近付き、いがみ合うアジアは何も変わっていない。日中両国が協力関係を強化する必要性と緊急性はさらに大きくなっており、我々は、協力関係の強化のために大きな一歩を踏み出すべき時に来ている。
世界の状況に目を向けると、現在の中国経済の状況には全世界が神経を尖らせ、米国の金利がいつ引き上げられるかと息を呑んで見守り、中国経済の成長の鈍化は世界の資源価格の下落を呼び、新興国や発展途上国の経済にはすでに大きな影響が出ている。アフガニスタンやイラク、シリアなどの国では統治の秩序が崩壊し、イスラム国が出現し、テロリズムが勢力を強めている。欧州は難民問題に直面している。もしも国家が統治の能力を失ってしまえば、多くの悲劇が生まれることとなる。また気候変動の影響で、世界的に極端な気象が次々と出現し、自然災害が頻発し、多くの人々が被害を被っている。国連の予測によると、2100年には世界の人口は110億を超えるという。22世紀はアフリカの世紀となると言われている。2012の世界の人口は72億とされており、2100年までにその150%となるということだ。これらの人々がいずれも豊かな生活を送ろうとすれば、どれほどのエネルギーが必要となり、環境にどれだけの破壊と影響がもたらされることになるのか。これを考えると寒気を覚えずにはいられない。
アジアがいがみ合っているこの瞬間にも、世界は、国境を超えた人類共同の様々な問題に直面している。我々にいがみ合っている時間はない。とりわけ世界の経済大国である日本と中国がいがみ合っていることは本当におかしなことだ。我々は、直面する課題に真剣に取り組み、協力を展開しなければならない。それは時代の要求であり、当然のことである。日本と中国が、あるいは韓国が世界を舞台にいがみ合っている姿をわざわざ見せることはない。こういうことはもうやめて、我々自身の問題は自身で解決しなければならない。
我々は協力を通じて世界が共同で直面する問題を解決し、我々のこうした協力の姿を全世界に見せていかなければならない。東アジアがいかなる理念を持ち、どのような目標を掲げているのかを、我々は世界に示していく必要がある。目の前の偏狭な自国の利益ではなく大局に目をつけ、長期的な角度から出発し、我々のビジョンを世界に示さなければならない。
我々の今回の世論調査は、東アジア地域が求める理念を見事に浮かび上がらせるものとなった。我々の国民の第一の願いは平和である。日本と中国の回答者の60%から70%が平和を希望している。それに続くのが協力と発展である。日中の回答者のうち40%が協力と発展を希望していると応えた。平和と協力、発展は、我々がともに掲げる理念である。それはまさに我々の目標でもあり、両国民の期待するものでもある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年10月24日
|