中日の経済・貿易協力がアジアの包摂的な発展に貢献

 

2008年に金融危機が勃発して以来、世界経済は今も着実に回復が実現することなく、先進国は経済回復力に欠け、新興国は成長が鈍化し、経済のグローバル化がもたらした利益分配の不均衡によって、世界の貧富差は日々拡大している。今年8月2日に決まった英国のEU離脱はグローバル化の衰退を示しているかようだ。

 

中国と日本は世界第二と第三の経済体であり、アジアは経済のグローバル化の背景の下、最も成長が活発な地域だ。反グローバリズム現象と世界経済の苦境について、中日両国の経済学者と企業家は今回の「北京―東京フォーラム」の経済・貿易分科会で、「構造改革の新局面と中日協力」というテーマをめぐって、問題解決の道について深く切り込んだ討論を行った。

 

包摂的な経済成長を堅持し、アジアにより多くのチャンスと保障を提供

 

フォーラムで、元中国石油化学工業集団董事長の傅成玉氏は、世界経済の現状について次のように見解を述べた。反グローバリズムの問題は本質的に成長問題ではなく、成長による成果が各国の各社会層に共有されてないことにある。共有の問題が解決できなければ、反グローバリズムの問題は解決できない。現在徹底的に実行すべきは、G20杭州サミットで打ち出された「包摂的な発展」を求め、成長による利益が確実に各地域に及ぶように取り組んでいくことだ。

 

では、アジア経済を支えている2つの重要な国家として、中国と日本はアジアの包摂的な発展を実現するためにどんな貢献ができるのか。フォーラムに参加したゲストは多数の貴重な提案を打ち出した。

 

三井物産の槍田松瑩顧問は次のように指摘した。アジアに最も切迫に求められているのはやはりインフラだ。日中がアジアの発展を促すには、インフラ整備を基礎とすべきだ。これまでにこれらの大規模なプロジェクトは中国の国営企業と提携して展開することが多く、時に政治情勢の影響を受けることもある。今後、より多くの中国民間企業と信頼関係を築き、インフラ整備の分野で協力してアジアのために貢献していきたい。

 

中国経済体制改革研究会の樊綱副会長は、金融協力の面から提言を行った。中日の通貨は現在米ドル建てをせずに決済できるようになり、しかも両国は共に米国の最大の債権国であり、両国の間に確固とした外貨プールを築く条件は十分ある。吉林大学経済学院の李暁副院長は、この考え方について次のように補足を行った。中日が協力してアジアで外貨プールを築くことで、同地域が通貨相場の高頻度な変動などの問題に対応する手助けとなり、『チェンマイ・イニシアティブ』の機能を拡充し、アジアの金融を安定、強化することができるだろう。

 

中日の経済・貿易協力に民間企業のさらなる活躍

 

中国両国が協力することは相互利益につながるだけでなく、アジアの包摂的な発展の実現にも役割を発揮する。しかし、現実的には、ここ数年、中日の経済・貿易協力は急激に下落している。これには、政治関係の持続的な悪化による影響もあるが、中国経済の成長モデルチェンジとグレードアップの原因もあった。

 

アリババグループの石東偉副総裁、華信エネルギーの臧建軍執行董事、億利グループの趙勇副総裁は、中国のハイテク産業の企業代表者として、金融テクノロジー、発電所の共同建設、砂漠対策など、具体的な協力方案を提議し、日本の同業者と協力していきたい意向を示した。

 

分科会の司会者を務めた元商務部副部長の魏建国氏は「30年前に、中日の経済・貿易協力は両国政府の主導によるものが主流でした。投資誘致団を率いたのはほとんど地元の省長、市長でしたが、今は企業家が主導し、日本側の民間企業に対する信頼を築いていかねばなりません」と述べた。その言葉のように、ハイエンド産業、サービス業における中国民間企業と日本側の協力が中日経済・貿易交流の新しい支柱となることに、期待が寄せられている。

 

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