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外国人に中国語を教授 資格取得の予備校経営者

今、世界には中国語ブームが巻き起こっている。大学や国家漢辦(中国国家漢語国際普及指導グループ辦公室)では、毎年、数千人もの中国語教師を育成しているが、それでも新しいニーズを満たすことができなくなってきている。専門外の人も、中国語教員の資格取得を試み始めており、対外中国語教育の職を求めている。

補講クラス開講後、未来の中国語教師たちに語りかける朱雪峰さん

 2005年、北京の大学院で学んでいた江蘇省出身の朱雪峰さんは、国家漢辦が主催する中国語教育能力検定試験に参加した。朱さんは、「私一人だと、せいぜい数十人の外国人を教えられる程度です。でも、もし中国語教育能力検定試験の補講クラスを開講できれば、より多くの人の注目を集められるし、一人で教えるよりずっと効率的なのではないかと考えたんです」と語った。

 2006年、指導教官の支持のもとで、朱さんは二万元の資金を集めてオフィスを借り、指導教官といっしょに「京師環宇」という研修機関をスタートさせた。教官の人脈をたよりに、各大学の対外中国語教育のエキスパートを招き、授業を行った。場所は周りの大学の使われていない教室を間借りした。

 「当時は各学校に広告を貼ってまわりましたね。受講生一人あたり600元のみを受け取り、試験に向けて八日間の補習を行います。授業は2、30人集まれば開講します。その一年で二クラス開講しました」

 しかし、補講クラスがスタートしたばかりだという時に、国家漢辦が主催する試験は、社会に開放されなくなり、補講クラスを開講する意義がなくなってしまった。朱さんもその時はあせったが、米国のIPA(International Profession Certification Association/国際認定協会)が、中国国家人事部などの関連部門の承認を受け、中国で「国際登録中国語教師資格証明書」取得試験を推進し始めた、という情報をすばやくキャッチした。

中国語教師も立派な中国文化の“伝道者”。教師の卵たちも身を以って、太極拳などの伝統文化を学ぶ(写真提供・朱雪峰)

 「でも、2006年末に北京で行われた初めての試験に参加したのは数十人にすぎなかったんです」。ほとんどの人が、それを重要視しなかったにもかかわらず、朱さんはそれをチャンスととらえた。IPAの承認を受け、「京師環宇」は正式な試験前研修機関となった。

 「応募者の中で一番多いのは、小・中学校の教師、留学生予備軍、外資系のサラリーマン、大学生ですね。われわれは彼らの受験申込み手続きの代行をし、十日間の補講授業を行うのです」

 高い給料で有名な専門家を招くほかに、朱さんは、クラス担任の役割も重視している。「ずっと勉強していると疲れやすいんです。なので、クラス担任が適度に雰囲気を盛り上げることが必要なんです」と語る朱さんだが、良いクラス担任は中国語教育の専門家を見つけるよりさらに難しいと感じたという。「以前は私自身が担任をしていました。しかし、最近は忙しくて、自分ひとりでは手が回らなくなってしまったんです」

 現在、朱さんの研修機関では一月あたり二クラスが開講され、毎年800人ほどの受講生が授業を受けている。学費は4800元に値上がりし、その中には1200元の受験料も含まれている。年々、北京での拡大にとどまらず、ハルビン、済南、武漢など十か所の都市でも授業を開講した。

 「口コミは評判が広がりやすいので助かります。何人かの受講生は、本来は単純に試験対策のために来たのですが、授業を通して、いろいろな知識と技術を勉強できたと感じてくれたようです。ご両親が勉強した後にお子さんを連れて勉強に来られたり、逆にお子さんがご両親を呼んでくる場合もあります。同僚やお友達を連れてくる人もいますよ」

 ブランドとして、どんどん有名になるにつれて、朱さんは今、専門部門の設立計画に着手していて、優秀な受講生を海外に送り込むつもりでいる。「今までは、ただ受動的に海外の学校からの要請を待っていましたが、今後はもっと積極的に推進していきたいです」、最後に朱さんはこう抱負を語ってくれた。

 

人民中国インターネット版 2010年11月

 

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