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内蒙古自治区ウーシン旗 草原に流れる馬頭琴の音色

 

装飾品でも音調は精確

 演奏会場で、馬頭琴を演奏する圧倒的な陣容を前にしていた私のカメラだが、知らず知らず決まって一人の蒙古族の美男子に焦点を定めていた。翌日、別の馬頭琴の製造工場を取材に行くと、意外にもその彼に出会った。名を青海と言い、ホルチン草原にある通遼市の人であった。子どものころから両親に従って放牧を行い、草原で育った。家族は父母と兄弟姉妹四人で、父親が馬頭琴が好きで、母親は歌を歌うのが好きだった。太陽がさんさんと照る草原であっても、月光の下のパオの中であろうと、家族はいつも一緒に酒を飲んだり馬頭琴を弾いたり歌を歌ったりする。馬頭琴が好きだったため、八、九年前にフホホト市の馬頭琴芸術学校に入学し、その演奏法を学んだ。三年で卒業してから、おじの経営する馬頭琴工場で三、四年研鑽し、製造のプロセスをマスターした。

馬頭琴の製造プロセス❼ 木製の板を張る

馬頭琴の製造プロセス❽ 共鳴箱と棹の表面にラッカーを吹きつける。普通は共鳴箱と棹は別々に塗装し、何度も吹き付けた後、乾いてから組み立てる

 昨年ウーシン旗文化局の招きにより、青海さんは馬頭琴の講座を開いた。彼と50人の講師はいっしょに、文化館などいろいろな場所で、全部で54回の講座を行った。受講生は毎回約60人で計4000人を超える。公務員やサラリーマン、学生、退職者などが演奏法を学んだ。普及し始めると馬頭琴はウーシン旗の人々みんなの楽しみになった。半年前、青海さんは義兄の謝紅偉さんといっしょに馬頭琴の製造工場を設立した。彼は調律師として製品の音質を一手に引き受けた。現在工場には16人の社員と二つの作業場があり、すでに千棹を生産した。馬頭琴は多くの蒙古族を始め、ほかの民族の人たちにも好まれ、人々の文化的生活の大切な一部になりつつある。

 新しく開発された街の新しいビルの中に、馬頭琴を製造する小さな工場を訪ねた。たまたま工場が休みだったため、工場長の安定さん(30)と奥さんしか居合わせない。この情熱的で朗らかな蒙古族の男性は取材中いつもにこやかに私たちの取材に熱心に応対し、わざわざその製造プロセスを実演して見せてくれた。

馬頭琴の製造プロセス❾ 組み立て。棹は半円形の柱状で、正面は平らで指板が付けられ、裏面は半円状。この棹を共鳴箱の穴に挿し込む

馬頭琴の製造プロセス❿ 弦の材料には以前はよく馬の尾が使われたが、現在ではナイロン糸が多く用いられる。内側の弦は120本を1束に、外側の弦は160本を1束にする。弦の上端は弦軸に、下端は共鳴箱の底に付ける尾柱にしっかりとくくり付ける。トウ製あるいは木製の弓には馬の尾のつるを張る

 安定さんの故郷は内蒙古北部のホルチン草原で、農業と牧畜が半々の地域だ。2001年高校を卒業後、フホホト市の馬頭琴製造工場で見習工になったが、やがて馬頭琴の製造に興味を持ち始めた。勤勉で研究熱心なファイトある安定さんは、師匠の指導のもとですぐにその製造技術を身に付けた。2009年、安定さんは「天韻馬頭琴工場」を開いた。6人の社員をもつこの工場は毎年千棹の馬頭琴を含めて約5000点の楽器を製造し、しかもほとんどの製品がプロレベルのものである。サンプル陳列室には、子ども向けや観光記念品としてのミニサイズの馬頭琴まであり、装飾品ではあっても音調はしっかりしている。

 

人民中国インターネット版 2011年1月27日

 

 

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