これって日本料理?! 不思議な発見@北京(1)
寿司、ラーメン、刺身…日本人にはおなじみの料理を、今中国の多くの都市で人々が楽しみ始めています。北京の繁華街・王府井を少し歩けば、すぐに多くの日本料理店を見つけられるでしょう。市の東に位置するCBDエリアには日本企業が集中しており、そこでは料亭や居酒屋も商売繁盛の様子です。
ところで、寿司なのにアボカドやマヨネーズを使うというカリフォルニアロールのことが日本で紹介されたときには、大きなニュースになりました。では、海を渡って北京にやってきた日本料理は、もともとの姿のままなのでしょうか? 中国では「随郷入俗」(郷に入っては郷に従え)と言います。ですから、きっと北京にもたくさんの「カリフォルニアロール現象」が生まれているはずです。
日本人の思っている「和食」と、中国人の考える「日本料理」には、いったいどれだけの距離があるのでしょうか? そしてそれはどんな姿で私たちを迎えてくれるのでしょうか? それでは、レポーターの馬島由佳子と、北京の日本料理を訪ね、驚きの発見をしてみましょう。
アワビ、タラバガニ入り超豪華おでんで
彼女をうっとりさせるのが北京流?!
北京の三里屯、ここはバーが軒を連ね、世界のブランドやグルメが集まる、おしゃれな男女、外国人に人気のエリアです。そんな街で人気なのが「IRON CHEF(達人食堂)」。店内のインテリアは白を基調に上品な感じで、ワインのボトルも豊富に並び南仏料理のレストランのように落ち着ける雰囲気。ところが、このレストランのオススメは「関東煮」、つまりおでんなのです。そして、大きなお碗にはたっぷり熱々の汁と豊富な食材。そこには、なんとアワビやタラバガニといった高級食材が惜しげもなく盛りつけられているではないですか。大きな窓から北京の夜景を眺め、柔らかな照明の下でこの豪華なおでんを前にすれば、日本のサラリーマンが赤提灯で日本酒を飲みながらちくわやだいこんのおでんをつまんでいるのとは、あまりに大きな違いではないでしょうか。
実は、中国の「80後」(80年以降に生まれた、いわゆる一人っ子世代)にとって、子どものころにテレビで大人気だった『桜桃小丸子』(ちびまる子ちゃん)の中で、パパに連れられたまる子が屋台のおでんを食べるシーンは深く印象に残っています。人々が屋台の周りに座り、お酒を飲みながら楽しそうにおしゃべりしています。屋台には大きな鍋があって、四角く区切られた中にさまざまなおでんだねが並んでいます。お客が指をさして注文すると、ねたを取り出して皿に入れてくれるのです。この、温かくて親しみのある情景は多くの視聴者を感動させました。もちろん、誰もがこの食べ物がどんな味なのか知りたいと想像をめぐらせたものです。
ねた:アワビ、タラバガニ、牛すじ、アスパラ、卵、こんにゃく、昆布、つみれ、つくね、大根、たこ 味:牛すじのだしと濃い口醤油味のスープ 値段:大皿90元(約1,132円)JPY12.588=RMB |
日本の味を残しながら、高級食材を投入し、料理の量を増やす。これが「IRON CHEF(達人食堂)」店主・章さんの成功法則です。中国人は日本料理に対して精巧、高級、量が少ない、値段が高いなどのイメージを持っています。そして、精巧で美しい、高級で品質がいいという特長が、量が少ない、値段が高いなどの欠点を補っていると見ています。それなら、アワビやタラバガニなどの高級食材を使えば、「関東煮」はもはや平凡な食べ物ではなくなり、多少値が張っても人々は受け入れるはずと章さんは考えたのです。また、中国人は量の多いことを喜ぶ傾向があります。そこで、美しい大碗いっぱいに食材とスープを盛りつけたなら、人々に注文する価値があると思わせるはずです。さらに、店内のおしゃれでロマンチックな雰囲気が加われば、ここをデートの場所に選ぼうという男性も次々と現れるでしょう。高級な日本料理とロマンチックな日本情緒は、きっと彼女のハートに響くはずだからです。
それでは、レポーターの馬島由佳子と一緒に、この北京ならではのおでんを味わってみましょう。
|
お 店: IRON CHEF(達人食堂) 住 所: 朝陽区南三里屯路16号泰悦豪庭西座2楼204号 電 話: 010-6506-6700 営業時間: 11:30~14:00、17:30~23:00 国慶節、春節時期は各3日間休業、それ以外は無休。 交 通: バス43番で「中紡街路」下車、徒歩1分。 地下鉄10号線団結湖駅D出口より徒歩20分。 お店案内、地図リンク: http://www.dianping.com/shop/3510493 ポイント: おでん小に鮑は入っていません。おでんは単品でも注文可 |
人民中国インターネット版 2011年3月8日