これって日本料理?! 不思議な発見@北京(2)
寿司、ラーメン、刺身…日本人にはおなじみの料理を、今中国の多くの都市で人々が楽しみ始めています。北京の繁華街・王府井を少し歩けば、すぐに多くの日本料理店を見つけることができるでしょう。市の東に位置するCBDエリアには日本企業が集中しており、そこでは料亭や居酒屋も商売繁盛の様子です。
ところで、寿司なのにアボカドやマヨネーズを使うというカリフォルニアロールのことが日本で紹介されたときには、大きなニュースになりました。では、海を渡って北京にやってきた日本料理は、もともとの姿のままなのでしょうか? 中国では「随郷入俗」(郷に入っては郷に従え)と言います。ですから、きっと北京にもたくさんの「カリフォルニアロール現象」が生まれているはずです。
日本人の思っている「和食」と、中国人の考える「日本料理」には、いったいどれほどの距離があるのでしょうか? そしてそれはどんな姿で私たちを迎えてくれるのでしょうか? それでは、レポーターの馬島由佳子と、北京の日本料理を訪ね、驚きの発見をしてみましょう。
ガチョウの卵を使う茶碗蒸し
茶碗蒸し、ガチョウの卵とフォアグラで大人気!
日本では、茶碗蒸しの料理としての格は決して低くなく、料亭などの高級メニューに名を連ねるほどで、マツタケなどの高級食材もよく使われます。マツタケやカニの季節になると、日本人はそれらの美味を茶碗蒸しとして楽しむことにお金を惜しみません。一方中国では、茶碗蒸しは「蛋羹」と呼ばれる簡単な家庭料理で、鶏卵と醤油などの調味料以外ほとんど何も入れないのが普通です。それでも人気があるのは、家庭の味がするからで、子どものころおかあさんが作ってくれた茶碗蒸しは、温かい思い出としてに心に残っています。でも、中国の茶碗蒸しはあまりに家庭的で、一般の料理店で見かけることはほとんどなく、中国の日本料理店の茶碗蒸しも同じように冷遇されているようです。確かに、中国でこうしたコストも低く、作り方も簡単な家庭料理に、高いお金を払って料理店で食べたいと思う人がいるのでしょうか。
ところが、北京のある日本料理店では、35元という値段の茶碗蒸しがたいへん人気があるそうです。今日は、馬島由佳子と一緒にこの話題の茶碗蒸しの人気の秘密を探りに行きましょう。
お店の名前は「合楽」、日本大使館のある建国門外街にあります。この店の茶碗蒸しこそ、グルメサイトで支持され熱烈なファンを持つ一品なのです。看板メニューの名は「フォアグラ卵蒸し」で、卵のカラを器に使い、伝統的な鶏卵による茶碗蒸しを、ガチョウの卵を使ったものに変更してしまった点が大きな特長です。
フォアグラ卵蒸し 材料:ガチョウの卵、フォアグラ、マツタケ、エビなど 価格:35元(約440円)JPY12.588=1RMB |
店長の説明によれば、妊娠中の奥さんに栄養をつけるため、苦労して買い求めたガチョウの卵が、思いがけない福をもたらしたということです。そう、彼はこの栄養豊富ながら意外に手に入りにくい食材を日本料理に使うことを思いついたのです。ガチョウの卵液を使うことで、栄養も料理のランクも一段上がりました。さらに、マツタケ、フォアグラなど高級食材を使い、その価値をもう一段アップさせました。とどめに、盛り付ける器にもひと工夫して、卵のカラを器として使うという、新鮮でかわいい演出を施したのです。
料理には、食材と調理の仕方に価値があるほか、文化・伝統や風俗・習慣も価値を加えます。ひとつの文化圏から別の文化圏にやって来た日本料理は、どのように本来の文化的価値を保つのでしょうか? どのように中国という文化圏の特長と結びつき新たな文化的価値を発揮するのでしょうか。「フォアグラ卵蒸し」の人気は、私たちにひとつのヒントを与えてくれているのではないでしょうか。
海鮮うどん 材料:うどん、エビ、イカ、アサリ、タコ、ホッキ貝など 価格:40元(約503円)JPY12.588=1RMB |
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お 店: 合楽 住 所: 朝陽区建国門外大街17号友誼商店裏手の通り、秀水南街 電 話: 010-6501-7798(携帯電話13641367161) 営業時間: 10:30~23:30 交 通: 地下鉄1号線永安里駅から西へ徒歩6分または2号線建国門駅から東へ徒歩5 分。バスの場合は1番、9番、43番など「日壇路」で下車。 お店案内、地図リンク: http://www.dianping.com/shop/508850 |
人民中国インターネット版 2011年3月22日