十氏が海南・広東で巡回展
本誌特約ライター・李艶平
4月9日午後2時、海南省博物館で記者会見が開かれ、メディアの記者全員からの注目を集めた。江蘇省国画院の崔見院長補佐と中央美術学院の比較芸術学(書道・絵画)専攻の趙彦国博士が、間もなく海南省で開催される江蘇名家書画芸術交流展を熱心に紹介していた。
この展覧会の意義は、他の一般的な展覧会とは異なる。江蘇省の党委員会宣伝部の章剣華常務副部長は、江蘇省国画院の周京新院長、中国書法院の院長、江蘇省国画院の副院長、江蘇省書法院の管峻執行院長らと共に、総勢10人で80作品を超える優れた書画を今回の作品展に携えてきた。この企画は、江蘇省と海南省の両省による文化交流を促進する上で非常に大きな役割を果たすことだろう。展覧会は、海南省文化宣伝職能部門が後援し、民間企業である海南紫宣文化発展有限公司がこのイベントの運営を受け持つ。この展覧会は、江蘇省書法院が発足してから、すでに2回も開催されており、今後も引き続き開催される。
中華文化の保護に尽力
文化的な視点や文化発展の水準から見れば、政府が主導し、企業が参加し、市民に文化の恩恵をもたらすことは、今年の「両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)」のテーマの中でも、とりわけ社会から注目された「大文化」概念を体現化したものだ。中国政府は、文化領域でのサポートを継続的に充実させることにより、文化の繁栄と発展を促進し、民族の夢の実現を目指している。中国共産党中央委員会の習近平総書記は、「中華民族の偉大な復興の実現は、近代における中華民族の最も偉大な夢だ」と語った。文化の繁栄は、夢の実現への輝かしいパートの一つだ。文化は民族の血脈であり、人民の精神的な故郷だ。この精神的な故郷を守り、文化を次の世代に伝えるために勇気を持って役割を担う必要がある。
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周京新氏 「京劇の登場人物」226cm×53cm 2013年 | 常進氏 「湖岸暮色」2012年 |
長年にわたり文化活動に携わってきた章剣華氏は、その責任を担う人物の一人だ。彼は、かつて江蘇省文化庁の長官を務め、在任期間中は、しばしば南京博物館を視察した。ある時、彼は朝天宮の文化財保管庫で、驚くべき情景を目にした。抗日戦争時代に中国南部へ移送し保存されていた2000箱を超える文化財に封が貼られて、保管庫に整然と所蔵されていたのだった。これらの文化財は、一体どのように今日まで完全な保存状態で保管されてきたのか? 彼の脳裏に大きなクエスチョンマークが浮かび上がった。とりわけ彼を困惑させたのは、何かしらの原因によりこの時代に関する歴史的な文献が少ないうえに不ぞろいで、専門的な研究があまりなされていないことだった。そこで、彼は自らこの時代について研究することを思い立ち、この時代の歴史を再考し、発見した点を追記した。彼はメディアに対して「当時は、深刻な文化の危機を迎えていた時代で、易培基、馬衡、呉瀛、徐森玉、庄厳、欧陽道達、那志良らの人々が、血と汗そして不屈の精神をもって中華文化の歴史を保護するという重責を担い、世界の戦争史上、類を見ない文化財の移送を果たした。戦時中に大量の国宝を移送するため万里の道のりを進んだが、国宝は一つも損なわなかったというのは、まさに奇跡だった」。史料および文学書として価値が高く、30万字を超える長編ノーフィクション作品である『承載』は、彼の研究成果の産物であり、この作品は、「文化財の南方移送」つまり抗日戦争時の文化に関する重大事件について、総合的かつ客観的な記述を補充している。また、ただ当時の歴史についてだけではなく、当時の文化人たちが抱いていた文化に対する危機感や使命感についても書き綴っている。
輩出された大家が多数
江蘇は、文化的な蓄積に恵まれており、書道と絵画芸術の分野において長い歴史と伝統があり、古来より書道家が集まった所だ。早くも東晋(317~420年)、南朝(420~589年)時代に、当時の都だった南京は、書聖・王羲之による独創的な「江左風韻(江蘇の趣)」を備えており、中国書道史上において隆盛期を迎えた。千百年来、江蘇は書道・絵画の大家や名作を数多く輩出させた。南京、蘇州、揚州はいずれも中国書道の中心地として、中国書道・絵画の発展史において重要な地位を占めた。
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章剣華氏 「為天地立心 為生民立命」 |
古代から現在に至るまで、江蘇周辺には文人が集まり、大家を輩出させ、経典が次々と編纂され、さまざまな文化的な魅力を備えている。呉門四家(明代に蘇州の画壇で活躍した4人の画家)、金陵八家(清代初期に金陵=南京で活躍した8人の画家)から揚州八怪(清の乾隆朝に揚州で活躍した8人の文人、画家)への漸進的な伝統の変遷、そして金陵四老(南京で有名な4人の近代書道家)による「以文養書(文を以って書道を発展させる)」から新金陵画派(20世紀初頭に結成された近代中国の画壇界で最も影響力のある流派の1つ)による「筆墨当随時代(時代に沿った筆使い)」まで、江蘇の書道・絵画は、伝統を受け継ぎながらも時代と共に新風を受け、斬新さを取り入れつつ発展しており、現代的な趣に古風さが漂う素晴らしい雰囲気を醸し出している。近代になって、江蘇の書道界では、多くの大家が輩出され、林散之、胡小石、高二適、蕭嫻、費新我、武中奇、瓦翁、沙曼翁、言恭達らの各氏がいずれも盛名をうたわれ、江蘇は「書道芸術の都」となっている。
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崔見氏 「鍾霊毓秀」 |
書道は芸術であり、さらに文化でもある。章草とは隷書から草書への過渡的な性格をもつ書体で、その伝統を基に革新を通して生まれた新章草は、伝統技法に重きを置く一方で、新たな手法を取り入れたものだ。現代の文化的精神に宿る美意識と思想的境地の表現の高揚を目指している。現代における江蘇風書道・絵画の新しい趣の普及に努め、伝統を受け継ぎつつ将来の発展に道を開く書道の精神をしっかりと守り、「和して同ぜず」という書道の歴史的な趣を味わいながら、近代書道に恥じない新たな精神を築くことに努力を傾けなければならない。
斬新な書画名作を紹介
今回の「江左風韻・2013江蘇省国画院、江蘇省書法院名家交流展」に出展予定の書画家たちの中で、江蘇省国画院の周京新院長による「新水墨画」と江蘇省書法院の章剣華院長による「新章草」が、とりわけ注目されている。新水墨画は、中国画の伝統的な筆使いの精髄を現代風にアレンジしたもので、写意の精神を完璧に表現したものだ。
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管峻氏 「袁宏道の散文」2012年 | 劉雲氏 「観瀑図」2012年 |
海南紫宣文化発展有限公司は、今年のメーンイベントとして同展覧会の主催を引き受けた。「中国書画海南行」の企画・運営企業として、海南省の生態の宝庫ともいわれている地理的な優位性を十分に発揮し、伝統文化の精神を受け継いで高揚させ、芸術大家の名作を誘致し、海南の文芸逸品を世に送り出し、市民に文化的な恩恵をもたらすことにより、企業の社会的責任を全うしている。今回のイベントは、海南省経済特区成立25周年の記念行事ともなっている。展覧会は、巡回展として5月7日から12日まで深圳美術館でも開催され、第9回中国(深圳)国際文化産業博覧交易会に花を添えることだろう。
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