『世間已無陳金芳』
石一楓 著
本書には「陳金芳はもうこの世にいない(仮訳)」と「地球の目(仮訳)」の中編小説2作が収録されている。前者はある農村出身の女の子が北京で奮闘し、懸命にもがき、最後にはゆがんだ「成功哲学」のせいで夢が破れるというストーリー。後者はある数学の天才がインターネット時代の道徳的な苦境に立たされ、さまざまな利益の誘惑に直面した際の人道的な覚醒について描写している。共に現代の都市に暮らす「失敗した若者」に目を向け、社会の下層にいる彼らが物質と精神の二重のプレッシャーに向かう時の決断と反抗を詳細に考察している。同時に現代の若者が社会の大きなギャップの前で独りで奮闘する絶望感をも描き出している。(十月文芸出版社 2016年1月 29.8元)
人民中国インターネット版 2016年6月