真の中国に触れて
蔭山芽依
私はこれまでの人生で、中国を訪れたことも、中国語を学んだこともなかった。しかし、私はこれまでの人生で、思いがけなく中国文化に接してきた。
私は高校1年生の時、英語学習のためにオーストラリアへ短期留学をした。その際、現地の家庭にホームステイをした。私が留学をしたのは英語を学ぶためだったため、留学に出かけるまでは、ホストファミリーも英語を話すオーストラリア人になるだろうと勝手に予想していた。しかし、オーストリアに着き、自分に割り振られたホストファミリーに会ってみると、ホストマザーは5年前にオーストラリアにやって来たばかりの中国人だった。
ホームステイが始まって数日間は大変だと感じることも多かった。なぜなら、日常会話もテレビのニュースも、家で聞こえてくる言葉の多くが中国語だったからだ。例えば、私は中国語のニュースを英語の字幕で見るという不思議な経験をした。また、食べ物も中国の家庭料理が多かった。餃子や麻婆茄子、中華粥などを毎日食べた。特に印象的だったのは餃子で、具材にキュウリが使われていたり、酢につけて食べたり、私が普段日本で食べている餃子とはかなり異なるものだった。家には秦の始皇帝陵で出土した兵馬俑のレプリカや、馬や蓮の花の刺繍など、中国らしいものがたくさん飾られていた。
オーストラリアに留学をしたのは英語を習得するためだったため、最初のうちは中国人のホストファミリーに当たったことをついていないと感じていた。しかし、こんなにユニークでおもしろい経験をすることはなかなかできないだろうし、中国に留学したつもりで楽しもうと考えるようにしてからは、充実した留学生活を送ることができた。今となっては、中国文化に触れるとてもよい経験になったと思う。
また、私の高校の学部は国際交流が盛んで、高校2年生のときに中国の姉妹校からたくさんの学生がやって来た。私は親しくなった中国人の子から、中国での学校生活や流行などについて教えてもらった。特に、中国の伝統的なお守りである招福飾りをプレゼントされたことはとても嬉しかった。それは今でも家に飾ってある。
私が中国の文化に触れたこれらの経験を通して学んだこと。それは、実際の中国は私たちが想像している中国とはかなり異なるということだ。例えば、中華料理。私は中国人の家にホームステイして中国の家庭料理を食べさせてもらうまで、中華料理といえばバーミヤンで食べるようなものばかりをイメージしていた。でもそれは間違いで、日本の中華料理は日本人の口に合うようにアレンジされたものなのだということがよく分かった。本場の中華料理は、味付けや使われる食材などが日本の中華料理とは大きく異なる。私はそのことを、実際に自分自身で本場の中華料理を食べて初めて知ることができた。
日本人の中には、空気汚染やパクリ遊園地などのマスメディアの情報から、中国に対してあまりよいイメージを持っていない人もいて、先入観を通して中国を見てしまいがちである。しかし、それらのマイナス面は中国のほんの一部分であり、広い中国の全てがそうではない。そのことを理解するためには、日本人自身が実際に中国を訪れたり、中国人と交流したりして、中国の文化に触れてみる必要があるのだ。
私はこれまでに、運よく真の中国に触れる機会が多々あり、日本人の多くが中国に対して持つ先入観から離れて中国を見ることができるようになり、中国の文化の魅力にとても惹かれた。そして、私は遂に、自分から中国に触れる取り組みの第一歩として、この春から大学で中国語の勉強を始めた。中国語の学習は難しいが、奥深い中国語の世界にわくわくする日々を送っている。これからはさらに中国語の学習に励み、中国語を極めることで、中国の文化に触れる経験を積極的に積み、私が知らない真の中国をもっともっと知っていきたい。