中国の出版事情は、日本とはまったく違う。
長い間、中国では、本を出版し、販売できるのは、国の許可を得た国有の出版社や国有の書店だけだった。
しかし、改革・開放がはじまり、計画経済から市場経済へ向かい始めると、「本の世界」に変化が起こり始めた。民営の書店がゆるされ、販売での競争が始まった。さらに中国が世界貿易機関(WTO)に加盟すると、外資にも小売りと取次ぎ(卸売り)の分野が次々に開放された。
本の出版そのものにも、変化が始まった。「工作室」と呼ばれる民営の編集プロダクションが、国有出版社と組んで企画から編集、デザインまで、大きな力を発揮するようになった。
民営と外資の参入によって衝撃を受けた国有の出版社や書店も、自己改革の歩みを速めている。いまや中国の「本の世界」は、国有、民営、外資が激突する舞台となった。
競争が激しくなった結果、本の種類は飛躍的に増え、美しく、魅力的な書籍や雑誌が、書店やキオスクに並ぶようになった。
なにせ、中国の図書は、年間売上げが700億元(約9100億円)を超す大市場である。これからこの大市場はどうなって行くのだろうか。様変わりした中国の出版事情を報告する。(張春侠=文 劉世昭=写真)
その1 外資が狙う13億のブック市場
その2 勃興する民営書店
その3 改革迫られた国有出版業
その4 出版界の改革・開放はどう進むのか
人民中国インターネット版
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