差し伸べられる温かい手
赤い募金箱
東京・渋谷区に、目立たない中国語のクラスがある。「クレセント外国アカデミー」というこの8平米にも満たない教室では、十数人が勉強している。壁側にある資料箱の上に赤い箱が置かれていて、その上に「中国の被災地への募金」と書いているのが目を引く。
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大和地区日中友好協会は街頭で募金活動を行った |
「クレセント外国アカデミー」に置かれた募金箱(写真・尾関雅俊) |
コンビニエンに設置された義援金の募金箱 |
中国・四川省でマグニチュード8の強い地震が起こった後、クラスの一人の生徒が被災地への募金を提案し、この赤い箱が置かれた。教室の責任者の尾関雅俊さんは「日本は地震大国です。私たちは地震の怖さを、身をもって知っています。あれほどの大地震の前では、この小さい箱の中に入れられたお金は微々たるもので、言うに足りませんが、私たちの気持ちを表しています」と言った。
神奈川県の小田急線の大和駅前では、数人のお年寄りが募金箱を抱えたりスローガンを手に持ったりして、道行く人に募金を呼びかけた。彼らは大和地区日中友好協会のメンバーで、5月25日から毎週末、駅前で募金活動を行っている。
私も彼らの輪の中に入り、「一日体験」をしてみた。募金箱を抱え、駅前を通る人々の前に立つと、なかなか声がでない。隣りのお年寄りは「お願いします!中国の四川省のために募金をお願いします」とひっきりなしに叫んでいる。その声は良く通り、感情がこもっているので、道行く人々を引きつけるパワーがあるらしい。やはり隣りに立って募金を呼びかけていた中年の男性は、私がずっともじもじして、声が出ないのを見て、こう言った。「私たちが努力しているのは、人の命を救うためだ。恥ずかしくなんかないよ。勇気を奮い起して、声と心で道行く人々を感動させよう」
大和地区日中友好協会の石井功さんの話によると、24、25日の2日だけで集まった募金は10万円を超えたという。石井さんがもっとも心打たれたのは、名前も知らないある中学生のことだ。彼は駅を通るたびに、募金箱に10円を入れる。そのお金は、お小遣いを節約したものだった。
「日曜中国語サークル」のメンバーたちも街頭募金を行った。「日曜中国語サークル」は中国語を勉強する日本人と日本語を勉強する中国人で構成されたグループで、地震発生後、彼らは自らお金を寄付するだけでなく、募金活動も行なった。メンバーの一人の唐木陽子さんは1カ月の生活費に当てている年金の半分を寄付した。
こうした草の根の募金活動は、普通の日本人が、中国の人々にどれほど温かい気持を抱いているか、を示していると思う。
被災地の学校を心配する
地震発生の3日後、山梨県中央市田富中学校は、生徒会役員会の緊急会議を開いた。生徒会長の二宮良樹君は、四川省の友だちのために募金し、できるだけ速く被災地へ送ろうと提案した。
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子供たちも小さな手で募金箱にお金を入れた(写真提供・日本僑報社) |
募金活動を展開した山梨県中央市田富中学校の生徒たち(写真提供・中央市役所) |
集まった募金を中央市市長に渡す田富中学校の生徒代表(写真提供・中央市役所) |
実は、田富中学校と四川省の都江堰中学は「友好学校」の関係を結んでいる。去年7月、都江堰中学の生徒が日本を訪問し、両校は文化交流活動を行った。現在、中国の友だちが災害に遭って、生死さえわからない。そこで田富中学校は、17のクラスに募金箱を設置し、生徒と保護者に募金を呼びかけ、被災地の友だちに慰問と激励の手紙を送ることになった。
そのほか、成都市紅専西路小学校と「友好学校」関係にある甲府市新田小学校も、5月15日から募金活動を始めた。桐蔭学園は幼稚園から大学まで募金活動を行い、60万円が励ましの気持ちとともに、被災地に届く。
民間団体も動く
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本誌東京支局を通じてたくさんの日本の民間団体が被災地に義援金を寄せた(写真・賈秋雅) |
お見舞いのため在日本中国大使館を訪れて署名する日本の各界の人たち |
東京で開催された四川大地震の写真展を参観する人々(写真・賈秋雅) |
地震が発生してから18時間後、神奈川新聞社は、新聞とネットで募金を呼びかけた。募金はすぐにあつまり、人民中国雑誌社を通じて被災地に送ることになった。募金を募ると、問い合わせの電話がひっきりなしにかかってきて、募金したいという人が後を絶たなかった。今月号の原稿の締め切りまでに、合計500万円の募金が集まった。
そのほか、日中友好協会、日中文化交流協会、日本華僑総会も積極的に動き、多くの募金を集めた。彼らはまた人民中国雑誌社と共同で『人民中国』の6月号の「四川汶川大地震特集」を無料で提供し、これを通じて被災地の状況を理解してもらい、募金を呼びかけた。また、笹川日中友好基金、笹川記念保険協力財団及び日本科学協会など、多くの企業や組織は弊誌の呼びかけに応え、募金活動に積極的に参加した。(本誌東京支局長 于文=文・写真)
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