仮設住宅のなかのチャン族刺繍トレーニング班
仮設住宅のなかのチャン族刺繍トレーニング班
北川県擂鼓鎮仮設住宅区のチャン族刺繍トレーニング班 |
北川県城から南方向にそう離れていない場所に、擂鼓鎮とよばれる小さな村がある。ここには多くの仮設住宅が設置され、千人以上にものぼる北川の被災民が暮らしている。仮設住宅エリアに入ると、そこは小さな都市のようである。学校、病院、消防隊、派出所、貯蓄センター、スーパーマーケットなど生活サービスのための機関はすべて揃っている。付近の農民たちは、通りにそって、豚肉や果物、野菜を売る屋台を設け、顧客たちと大声で値段のかけひきをしている。青い制服を着た作業員が、住民のためにテレビの受信のための衛星アンテナを設置している。一年前の人々の苦しみ、恐怖の表情はもう見られず、みなは落ち着いて生活し、静かに未来に期待している。
仮設住宅の中心広場付近には、チャン族の刺繍のトレーニング班がある。7,8人のチャン族の衣装をまとった女性たちが室内に座り、笑ったり、おしゃべりをしながら手の中では花を刺している。彼女たちのなかで、一人、痩せた女性が常にほかの女性たちの刺繍の様子を指導している。彼女は、龍春林さんといい、数十キロ離れた茂県からやってきている。今年の春節が過ぎてすぐ、十年以上にわたるチャン族の刺繍の経験をもつ彼女は、北川県の友達の招きに応じ、チャン族の刺繍の技術を教えるためにここにやってきた。龍春林さんは、「北川県はチャン族の自治県で、チャン族の刺繍は私たちチャン族の伝統工芸です。ここの女性たちが習いたいというなら、私は、教えます。将来、ここは地震を記念する観光地になることでしょう。旅行者は私たちが一針一針刺したきれいな図案を好むはずで、チャン族の刺繍は、収入を得る特技となるはずです」という。
チャン族の伝統習俗では、女の子は小さいころから刺繍を学ばなければならない。それはチャン族の女性たちの基本の技であり、嫁入りの衣装の刺繍は、必ず自分の手で完成させなければならない。刺繍がうまい女性ほど、男性たちの人気を得る。チャン族の刺繍には16種類があり、花や鳥などの図案を生き生きと刺した質のよいチャン族の刺繍作品は、一つの精巧な工芸品である。けれど、時代の発展により、現代のチャン族の女の子たちにとっては、刺繍はすでに必須の技ではなくなっている。
「まず布の上に図案を描くことを教え、その図案に沿って様々な色の糸をあわせます。次に、簡単なステッチから教え、次第に難しくしていきます」と龍さんは言う。「10日あれば刺せるようになり、一カ月で1作品完成の完成を保証します」。龍さんの生徒たちのうち、ある生徒は美しい牡丹の花を刺繍できるようになっている。彼女の教えのもと、みなのチャン族の刺繍に対する興味は次第に高まっている。チャイナモバイル北川支社の張璇さんは、時間さえあればここに来て刺繍している。20代の彼女は、「結婚する時には、自分で刺繍した衣装をきてお嫁に行かせる、と母が言います。よく勉強して、自分できれいに着飾らなければ」と言う。母親の姜順華さんは、仮住まいから永住のための新居に移ったら、刺繍の館を開き、チャン族の刺繍工芸品を集めて売り、旅行用のバスの運転手をする夫とともに、にぎやかに暮らしたいと思っている。
人民中国インターネット版 2009年5月