万博会場でのいろいろな出会い
2010年上海万博日本国家館館長 江原規由
万博会場では、さまざまな「出会い」があります。先日は、上海市の小学十校から生徒1000名に日本館を参観してもらいました。各校から1日100名ずつでしたが、入館を待っている間、彼らに「日本に行ったことがありますか」と聞くと、ほとんどの小朋友」から実に元気に「行ったことがある」との答えが返ってきました。逆に、日本のアニメの主人公や寿司のワサビなどに関して質問され、ちょっと回答に窮したこともありました。日本館参観で彼らに日本をさらに身近に感じてもらいたいと思いました。
バッジとミネラルウォーター
通勤バスの駐車場入り口の日除けパラソルの下に、いつもきちんと背筋を伸ばして警備の人が立っています。毎日、「你好(ニィハオ)!」と挨拶しあっていると、彼らと「老朋友(ラオ・ポンヨウ、友達の意味)」意識が芽生えるようです。ある時、「你好!」というと、突然、「日本館のバッジはありますか」との言葉が返ってきました。もっていれば、記念にほしいということなのでしょう。炎天下で安全確保の厳しい任務に就く人から思いもよらない言葉をかけられるのは新鮮な驚きです。
老朋友関係は通勤バスのドライバーさんとの間にもあります。毎日の通勤途上で彼らと挨拶をしていると相互に親近感が出てきます。「今日は暑いですね」というと、自分のバッグからミネラルウォターを一本取り出し「進呈する」というのです。一緒に上海万博をやっているという仲間意識を感じつつ通勤するのは、暑さの中で爽快な気分を感じさせてくれます。
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バイオリンを弾くロボットを見つめる「小朋友」たち |
普段着のVIP
日本館には各界から毎日いろいろな方がお見えになります。そうした人たちの服装にちょっと注目しています。1970年の大阪万博では、当初、スーツ、ネクタイ姿での参観者が多かったと聞きます。上海万博では、男性の場合、Tシャツ、半袖、そして開襟シャツ姿、女性でもリラックスした服装がほとんどで、名刺は持参せず、開放感を満喫している姿にいつも感心しています。普段着のVIPとの出会いは、上海万博ならでは、でしょう。別れ際、必ずといってよいほど「私の都市にぜひ来てみてくれ」と、声をかけてくれます。その一言に、そして、去りゆくその人に手を振ると、それ以上に手を大きく振り返してくれる姿に、実際に行ってみたくなるような気にさせられる迫力と親しみを感じてしまいます。
人と人、特に、異文化を持つ人々との間では、言葉や挨拶を掛け合うことは、コミュニケーションの円滑化、相互理解の促進の第一歩ですが、中国の人々はそのタイミングと相手の気持ちを「読む」のに慣れているようだと、万博会場そして日本館でいつも感じています。
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