錦上に花を添える華麗な舞台
中国東方演芸集団副総経理 宋晨氏に聞く
于文 金田直次郎=聞き手
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写真・井上俊彦 |
――上海万博は展示もさることながら、各国と中国各地のさまざまな歌や踊りを、会場の至る所で見ることができます。同時に会期中、公演のメイン会場である万博文化センターでは、宋さんが副総経理(副社長)を務める中国東方演芸集団がハイレベルの歌と踊りを披露しています。今回の長期公演のいきさつからお話しいただけますか。
中国東方演芸集団は昨年に成立しましたが、もとは2005年に中国歌舞団と東方歌舞団が合併してつくられたもので、この二つの歌舞団はどちらも中国を代表する国家歌舞団です。新中国がお迎えした各国の貴賓のおもてなしには、きまってこの二つの歌舞団のどちらかが歌や踊りを披露することで中国人民の友好の気持ちを表してきました。演芸集団として独立採算制の会社組織になりましたが、陣容は一段と強化され、これまで以上に活発な公演を行っています。そのいちばんの表れが、今回の上海万博での長期公演だと言ってもいいでしょう。
――土曜・日曜を除いて毎日、昼、夜の二回、一時間半の公演が万博会期中、連日行われているとうかがっています。どんな内容なのでしょう。
午後四時からのステージは中国の民族歌舞が中心です。万博会場に見えた外国の客人を中国情緒でお迎えしようと新しい出し物を創作しました。『歓天喜地』と呼んでいますが、喜びにあふれる中国の春節(旧正月)の様子を歌と踊りでお見せします。午後七時からのステージは外国の歌と踊りが中心ですが、アイルランド、インド、アフリカ、アラブ……、世界各国のすぐれた歌と踊りが続きます。『風は五大陸から吹く』と呼ぶこの出し物も上海万博のために新しく創作されたものです。中国の風格と外国の風情をステージで交互にお見せすることで、万博という錦に花を添えたい、それが私たちの思いです。
――たいへん好評で、万博文化センターのホール入り口には毎回、鑑賞希望の来場者の長い列ができると聞いていますが……。
中国の人々にとって、中国歌舞団は長く「中央歌舞団」の名で親しまれてきました。「東方歌舞団」も同様、中国を代表する歌舞団として有名ですから、今回の公演はなかなか目にすることのできない国家レベルの歌と踊りが一堂に会したわけで、毎回の公演はたいへん好評です。出し物が豊富多彩であること、万博という世界の祭典にふさわしい歌と踊りで雰囲気を盛り上げていること、それと、夏の暑い盛りに会期が重なりましたので、万博文化センターの現代的で冷房設備が完備した大ホールは、来場者には格好の「避暑空間」になりました。準備に時間をかけ、舞台装置や照明も一新して、総合的な舞台に作り上げたことも成功の一因です。
万博会場内では連日、各国の歌や踊りが披露されていますね。残念なのは、中国と外国のステージ芸術家の間で交流がもてたらと思うのですが、一日二回の公演をこなすのはなかなかたいへんで、出演者同士の交流がまだあまり行われていないことです。
――お話をうかがっていますと、中国東方演芸集団がそっくり万博会場に移ってきてしまった観があるのですが、地方公演や外国公演に支障が出ることはありませんか。
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連日、万博文化センター・メインステージで華麗な歌と踊りを披露している中国東方演芸集団(東方IC) |
それは大丈夫です。中国東方演芸集団は大所帯ですので、普段は四つのグループに分けて公演をこなしますが、今回の万博会場公演は、そのうちの一グループが担当しました。
国慶節には文化部(省)主催の大きな慶祝行事がありますが、中国東方演芸集団ももちろん出演します。外国公演も行われていますので、ご心配なく(笑い)。
――準備から公演まで、ずっと万博とのかかわりを間近で見守ってこられた宋さんは、今回の万博公演をどのように評価されていますか。
言うまでもなく、万博は世界の盛典です。各国が民族の風格とその実力を展示・披露する絶好の機会であり、異なる民族文化が一堂に会してその妍を競います。歌や踊りもその公演を通して、それぞれの国と民族の特色を現すことになりますので、たいへん大きな役割を果たしています。私たちは中国の民族の風格を十二分に表した出し物を『神州風采』と呼んでいますが、「神州」は中国のことで、多民族国家の豊富多彩な情緒を歌と踊りで表現しました。同時に『風は五大陸から吹く』は世界五大陸の各国各民族の歌と踊りを基に創作されています。歌には日本の『北国の春』もありますし、踊りには『ソーラン節』もあります。歌と踊りが一体になった多彩なステージを通して、世界の友誼と文化の繁栄をたたえることができます。あらためて歌や踊りの持つ力を認識しました。万博公演の成功を踏まえて、中国東方演芸集団がいっそう充実し、国際的なレベルをきわめてほしいと願っています。
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