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中国―日本 友好の絆③ しずおか

「あなたは『日本』と聞いて何を思い浮かべますか」。こう尋ねると、普通の中国人なら「桜」「富士山」「温泉」と答える。その日本のイメージがそっくり楽しめるのが静岡県だ。

静岡県が中国・浙江省と友好提携関係を結んで30年。浙江省も風光明媚な西湖や中国三大霊山の一つである天台山を擁し、共通点が多い。

そのうえ最近では、中国で人気のテレビドラマ『ドゥララの昇進物語』(中国名「杜拉拉昇職記」)のロケ地となり、中国の若者の間で「静岡」は一躍有名になった。ドラマのヒロイン「杜拉拉(ドゥララ)」は静岡を二回も訪れ、富士山に魅了され、仕事のストレスを解消し、恋の悩みも解決できたのだった。

中国の子どもたちが愛する「ちびまる子ちゃん(中国名『櫻桃小丸子』)ランド」や「機動戦士ガンダム」(中国名『機動戦士高達』)のプラモデル工場も静岡県にあり、中国人観光客の人気スポットになっている。

 

川勝平太 静岡県知事インタビュー

相思相愛の仲をさらに発展させたい

東京支局=文・写真

川勝平太静岡県知事
―― 1982年に、静岡県と浙江省が友好関係を結んでから今年で30周年になりますね。

川勝平太知事 昔、中国・浙江省の寧波は、日本から中国に入る窓口でした。静岡県と浙江省はともに、茶、みかんの有名な産地です。また浙江省は米と魚の豊富な土地で、静岡県は食材数日本一で非常に似ています。こちらには富士山があちらには西湖があり、両者はともに美しい。恋人同士のように相思相愛の仲で、年々、交流を深めてきました。

2009年には静岡空港ができ、上海路線が開通しました。2010年の上海万博には、県民の千分の一、富士山の標高と同じ3776人で行く計画を立てました。浙江省の書記をされたことのある習近平先生にそれをお話しましたら、大変喜んでくださいました。私自身もその年だけで4回、中国へ行きました。終わってみると、静岡県から6000人以上が上海万博や浙江省を訪れたのです。こういった活動が認められ、上海で開かれた2010中国国際友好都市大会で「対中友好都市交流提携賞」を受賞しました。

―― 静岡県は、中国でベストセラーになった小説『ドゥララの昇進物語』のテレビドラマのロケ地になり、中国からたくさんの観光客が訪れていますね。

川勝 静岡県は日本の箱庭です。西洋文明の影響を受けた東京と、東洋文明の影響を受けた京都の中間地点にあって、「本物」の美しい日本が残っています。ロケ地のひとつとなった伊豆西海岸から見る夕日は素晴らしいものです。

静岡県はマグロの水揚げ量日本一、ワサビが育つきれいな水が毎日、百万トンも湧き出ています。将来ジオパークになる予定の伊豆半島をはじめ温泉や旅館も非常に多い。さらに掛川市には中国でもたいへん人気のある資生堂の化粧品の工場があります。銀座で買わなくても、掛川で買えるように資生堂に働きかけています。

―― 今年は中日国交正常化40周年を迎えますが、今後の展望についてお聞かせください。

川勝 将来の日中交流の担い手になる若い人たちを大事にしたい。農業、漁業、医学を含む全ての分野で、高校生、大学生レベルの交流を深めるのが一番大きな目標です。

昨年は東日本大震災で、県をあげて東北を支援したため、浙江省とはあまり活発には交流できませんでした。今年は浙江省と友好提携締結30周年、日中国交正常化40周年に当たるので、お互いに「今年は大いにやりましょう」と意気込んでいます。

何しろ静岡県と浙江省は恋人同士の仲ですから、西湖が世界遺産に登録されたお祝いにも駆けつけたいし、来年、富士山が登録されれば、ともにそれを祝い合いたいものです。

経済発展では、古きを訪ねて新しきを知るという「温故知新」を新時代に生かすというのが私の基本的な姿勢です。古くからアジアに共通する「徳」を大事にして豊かな国をつくるという「富国有徳」の精神で、日中両国の関係をつくりあげていきたいものです。

 

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